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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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ケヴィン・シニック(作)&フィオナ・シェイ(画)『スター・ウォーズ チューバッカとポーグ』

STAR WARS チューバッカとポーグSTAR WARS チューバッカとポーグ
ケヴィン・シニック フィオナ・シェイ

講談社 2018-04-27
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★★★☆☆
チューバッカは、友人のレイと、謎に包まれる島へとやってきた。そこに住む、伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーを訪ねるために。しかし、島には、ルークのほかにも、かわいらしい生き物が生息していた。ポーグだ。チューバッカとポーグ、二つの異なる種族は、平和に暮らしていけるか? 続きはこの笑いあり、涙あり、最後はチューバッカが愛おしくてたまらなくなる絵本をご覧あれ。これぞ、チューイとポーグの友情物語。


 『EP8』でレイと共にオクトーに降り立ったチューイーが、島に棲むポーグたちに悩まされつつも不思議な関係を築いていく過程を綴る幼年向け絵本。BB-8に次いで続三部作に投入された新たなマスコット、ポーグ。日本でも映画公開前から推しに推されてきたキャラクターを冠に掲げ、C-3POとR2-D2のドロイドコンビに並び旧三部作からアイコンとして親しまれてきたチューイーとの共演というのだから、これが訳されないわけがありません。本国でのリリースが発表された際、いずれは日本でも出してくれるだろうと睨んでいました。
 講談社は絵本系の「SW」書籍に特に力を入れていることもあり、案外いまや小説よりも邦訳の望みが高くなっているような気さえします。レジェンズではあまり見られなかった未就学児~小学生をターゲットにしたスピンオフが定期的にフォローされるようになったのは、やはりディズニーの方針あってこそなのか、「ボバ・フェット」の頃に高貴氏が目指した方向性は決して間違いではなかったのだなぁと感慨深くもありました。

 本作はタイトルどおりチューイーとポーグの絡みを主体とした絵本です。オクトーで平和に暮らすポーグたちの前にある日、毛むくじゃらな“友人”がやってきて、好奇心を押さえられずにちょっかいを掛ける姿はあざといほどに愛らしく、動物的でありつつもペットのような人懐っこさを見せるポーグとの優しさに溢れた物語は子供のみならず大人心をも癒してくれます。
 チューイーとポーグといえば『EP8』で丸焼きにしているシーンが何を措いて印象的で、最初にチューイーを目にしたポーグが彼をエサとして観察していたのには思わず「おまえからか!」とツッコミを入れたくなりました。本書においてはそんな生々しい生存競争の気配もなく、徹底してハートウォーミングな世界観が守られているのは映画本編を知っているとなかなかにブラックでもあります。
 『フォース・オブ・デスティーニー』や『BB-8 ミニクリップ』におけるポーグの扱いを見るに、ウケ狙いともいえる一発ネタで本編でああいった扱いを行ったのは実は結構な失敗だったようにも感じました。

 ルークの下を訪れるレイ、彼女の修行中ファルコンで待つチューイーはどう過ごしていたのか?という本編の裏話である一方、ばっちり幼年向けのお話としてスピンオフを1本こさえてしまえる懐の広さこそが「SW」の魅力です。また、そうした既存の大人ファンとは別の、これから「SW」を好きになっていく子供たちを見据えた商品展開はまさしく、『EP8』のラストで提示された“明日のレジスタンス、未来のジェダイはキミだ!”というテーマにぴったり合致していると考えるのは深読みのしすぎでしょうか。
 この本を入口にポーグ可愛い!チューバッカ温かい!と感じた子供たちがこれから何年か後、熱心な「SW」ファンとしてコンテンツを支える側に育ってくれればこれほど嬉しいことはありません。それが『EP8』という作品の意義にもフィードバックされてくるハズです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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