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クラウディア・グレイ『スター・ウォーズ ブラッドライン(上)』

スター・ウォーズ ブラッドライン 上 (角川文庫)スター・ウォーズ ブラッドライン 上 (角川文庫)
クラウディア・グレイ 富永 和子

KADOKAWA 2017-12-21
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★★★★☆

ときは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から遡ること数年。新共和国はリーダーシップを欠き、対立する2大政党――セントリスト党とポピュリスト党の政争が繰り広げられるばかりで銀河の諸問題を解決できない状態だった。そんななか、レイア・オーガナ議員とランソム・カスタルフォ議員は政党の枠を超え、ある犯罪カルテルの実態調査のため協力する。やがて彼らが目にしたのは、謎の大規模な軍組織だった。


 『EP7』の6年前、停滞する新共和国の政治に倦むレイアと、新たに提案された元老院の主席議員選挙を襲うテロ事件を通し明らかになるファースト・オーダーの“発見”を描くポリティカルサスペンス。未だ断片的にしか語られてこなかった続三部作における銀河の状況、ファースト・オーダーの台頭、レイアの失脚とレジスタンス結成に至るまでの過程が語られるカノンの「スター・ウォーズ」小説、最重要作です。
 著者は「アフターマス」シリーズのチャック・ウェンディグと共にカノンを牽引しているといって良い女性作家、クラウディア・グレイ。発売されるや傑作との呼び声高く日本オリジナルでコミカライズも連載中の『ロスト・スターズ』、その第2弾として準備中の『レイア』を手掛けていることからもその注目度が窺えます。

 本書の目玉は何を措いても続三部作のルーツとなる出来事が綴られている点でしょう。ハンとレイアの結婚生活、帝国崩壊後の新共和国の実情、『EP7』の登場人物たちの顔見世……。われわれファンの知りたかったあれこれが明確に記され、映画を観ているだけでは呑み込み難かった多くの疑問に答えが出されています。
 特にハンとレイアのその後についてはまだベンがカイロ・レンとなる前ということもあり、遠距離ながら良好な夫婦関係が続いているのは意外でした。ホズニアン・プライムにて政治の世界に身を置くレイアとは異なり、ハンはハンに合ったやり方で慈善レースを興行したり、若いパイロットの育成に力を注いでいるようで、『EP7』で些か急にも感じられたたまたま乗り合わせることになったぽっと出の田舎娘であるレイをファルコンの副操縦士に誘った理由や、彼女に見せる父性もそれが故のものだったのかとようやく合点がいきました。
 チューイーがハンと別れて故郷の家族の元に戻っているのにもレジェンズに馴染んだ身からするとびっくりでした。このあたりはキャッシークが舞台となる『Aftermath: Life Debt』に詳しいのかな? こちらも早い邦訳が待たれるところです。

 レイアと並び本作のもうひとりの主人公ともいえるのが若手実力派のセントリスト議員、ランソム・カスタルフォです。新共和国元老院を二分する党派のうちレイアの属するポピュリストと敵対する立場にある彼は人並みに見栄を張り、プライドも高い一方、常に公明正大でいようと心掛ける誠実な人物でもあり、ヴェイダーとパルパティーンを嫌いつつも帝国の統治体系を評価し、その遺物を収集することを趣味としています。
 そんな鼻持ちならないカスタルフォとレイアがライロスの使節によってもたらされた情報の信義を調査する過程で罵り合い、ぶつかり合いながらも党派も年齢も超えて認め合う道程こそが本ストーリーの主軸といえましょう。
 高貴でキザな雰囲気を纏いつつもその実、四角四面の頑固者で頭に血が上りやすいカスタルフォはいわばレイアと似た者同士の鏡写しなんですね。レイアとの友情が深まれば深まるほど、彼の過去に影を落とすヴェイダーへのトラウマが爆弾になってくる危うい関係性は読んでいて冷や冷やさせられます。
 ここでライロスの代表として登場するイェンダーが『ロスト・スターズ』でセインとコンビを組んでいたトワイレックであるというのも嬉しいファンサービスです。

 それにしても既存の邦訳小説で既にわかっていたとはいえ、新共和国の有様は酷いです。セントリストとポピリュストのマウントの取り合いで膠着する議会、少なくない数が存在する帝国回帰主義の急進派――戦争終結からたったの20年ぽっちでここまで堕落するか、という体たらくはやはり反乱同盟軍が共通の敵を倒すことのみを目的に集まった素人集団の有象無象でしかなかったことを実感させられ、帝国の治世の方がよほど安定していたと言われても簡単には否定できません。
 旧レジェンズでは帝国との和平条約締結までエンドアから15年、度重なる脅威と逆襲が銀河を襲う中で段々とあるべき形を成してきたのに対し、カノンはたったの1年で終わってしまいましたからね。まだまだ銀河を統治するだけの準備ができていなかったと。
 加えてそうしたいざこざを通して段階を踏んで受け入れられてきたレイアの出自やジェダイへの理解が広まる機会がまるでないままにきてしまったのも痛手です。結果として、未熟な社会と成長途中のヒーローは最悪な展開に陥るしかありませんでした。
 テーマのひとつとして『EP7』ではハンの、『EP8』ではルークの失敗からのやり直しが描かれてきた続三部作において、旧三部作の主人公たちの中で唯一、精神的支柱としてレジスタンスを結成し、常に強い姿を観客の目に焼き付けてきたレイア。そんな彼女があるのは本編映画の少し前、この段階で大きな挫折と再起を経験していたからに他ならない。そうした観点からも読み逃し厳禁、歴史のページを埋める重要なピースを担う物語となるハズです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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