積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

北森鴻『ちあき電脳探偵社』

ちあき電脳探偵社 (PHP文芸文庫)ちあき電脳探偵社 (PHP文芸文庫)
北森 鴻

PHP研究所 2011-01
売り上げランキング : 391451

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★☆☆
桜町小学校に転校してきた鷹坂ちあきは、サラサラ髪にえくぼがかわいい女の子。でも、不思議な事件に遭遇すると大変身! 鋭い推理力とアクティブさで、学校の前の桜の花が一夜にして消えた謎に迫る「桜並木とUFO事件」、あかずの倉庫に出没する幽霊の正体を暴く「幽霊教室の怪人事件」ほか、たくさんの謎に挑んでいく。


 大人しくも知的好奇心に溢れた美少女ちあきが自宅にある世界に1台のスーパーコンピュータを駆使して、同級生のコウスケと共に校内を騒がせる事件の数々を一刀両断してみせる連作ジュブナイルミステリ。
 1996年4月より1年間に渡り『小学三年生』にて掲載された北森鴻の最初期の作品を、没後1年を機に文庫オリジナルとしてひとつにまとめられた発掘作です。桜の季節から始まり、夏休みを前にした幽霊騒動、クリスマスパーティーに雪だるまと過行く時間を追って、時節に応じた謎が各話に用意されているのも児童誌連載ならではといえるでしょう。

 お話毎にそれぞれ異なる趣向を凝らしているのもミステリ作家としての矜持が感じられます。桜の枝が切り落とされたWhyから驚きの展開を導く「桜並木とUFO事件」、伏線芸が光る「幽霊教室の怪事件」、科学トリックのようなクイズが主題の「マジカルパーティー」、まさかのフーダニットである「雪だるまは知っている」など児童向けといえどもワンパターンにならないよう工夫が凝らされているばかりか、大人向けではまず却下されそうな大胆な発想をも読者層に合わせてリアリティラインが下がることで自然と「アリ」なものにしてしまっているのも美点です。
 クラスの女王様でいることに執着し、ちあきに常々対抗心を燃やしているカオルが一杯食わされるだけの当て馬的なキャラ付けに終わらず、本命たるちあきによる解決編の前にダミーの推理を披露する役割を担っているのもさり気なく本格ミステリのプロセスに忠実で、文庫にしては字も大きく、少年少女が接する初めての“本格”に強く推したい作品です。


スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

04 | 2018/05 | 06
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析