2017.12/13 [Wed]
チャック・ウェンディグ(作)&ルーク・ロス他(画)『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
![]() | スター・ウォーズ/フォースの覚醒 (ShoPro Books) チャック・ウェンディグ ルーク・ロス他 小学館集英社プロダクション 2017-12-06 売り上げランキング : 46073 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★☆☆
反乱同盟軍による第2デス・スターの破壊と銀河帝国の崩壊から30年。帝国の残党から生まれた軍事組織ファースト・オーダーの部隊と彼らを率いる邪悪な戦士カイロ・レンが辺境の惑星ジャクーの村を襲った。消えたルーク・スカイウォーカーの居場所を求めて! 同じ目的でレジスタンスのレイア・オーガナ将軍から派遣されたエースパイロットのポー・ダメロン、若き廃品回収業者レイ、脱走ストームトルーパーのフィン、そしてカイロ・レン――彼らの運命が交錯し、銀河に新たな激動の歴史がスタートする!
「スター・ウォーズ フォースの覚醒」ノベライズ。
今月15日に最新作『最後のジェダイ』公開を控えたこのタイミングで、ShoPro books が「スター・ウォーズ」のスピンオフコミック出版に返り咲きです。小学館プロダクション(当時)といえば旧レジェンズにおいては『ダーク・エンパイア』や『ボバ・フェット』などいくつかの「SW」コミックを翻訳した過去があり、ディズニー体制移行直前には何がしかの作品を出すつもりでいるという話もありましたが、ルーカスフィルム買収による影響でそれらの計画もフェードアウトしてしまいました。
今回、ディズニーによる続三部作が立ち上がったことで既にヴィレッジブックスから数作のコミックが定期的に供給され、小説以上に不遇であった日本のスピンオフコミック事情が大幅に改善されただけでもありがたかったのに、よもやそこに新たなラインから参入があろうとは! しかも編集を手掛けるのは長年に渡り日本のスピンオフ業界を担ってきたわれらが高貴準三氏、訳者が「ボバ」少年シリーズの村上清幸氏という完璧に信頼の置ける布陣。
カバーを排すことで価格を抑え、より広い層に手に取って貰おうという各種努力も素晴らしい。
本作は『EP7』をミニシリーズとしてコミック化したもので、基本的には映画の筋をなぞる形となり、新たな要素、コミックならではのエピソードは皆無といって良いでしょう。また140ページという分量に収める都合上、映画の内容を大幅に端折っている部分も少なくなく、主に場面転換や心情変化の面で些か急ぎ過ぎているきらいも否めません。必要最低限のコマ数で済ませるために無理くり“地の文”に説明を投げたなと思わせる箇所もあって、兎にも角にも紙幅との戦いに苦慮していたことが見てとれるのは何ともはや。スター・キラーによるホズニアン・プライム破壊のシリアスな場面にまでご丁寧にキャラクター紹介が入っている画はなかなかにシュールです。マスクを脱いだカイロ・レンがいちいちオーバーリアクションをとってくるのも笑ってしまいました。
そんな中でも公開前に各種メディアで紹介された本編写真やトレーラーに散見された劇中ショットを意識的に盛り込むことによって『EP7』らしさをしっかり演出し、映画のコミカライズとして成立させているのはさすがですね。
スピンオフファン向けのネタとしてはディカーのレジスタンス基地の会議シーンで『アフターマス』に登場するテミンの相棒・ミスター・ボーンズが描かれている点に着目したいところ。B1バトル・ドロイドでありながら全身凶器で禍々しいペイントのなされたミスター・ボーンズのビジュアルは大人数に溶け込んでいてもはっきりそれとわかるほど特徴的で、本コミックの原作を同シリーズのチャック・ウェンディグが担当しているからこその仕込みでしょう。
ただし後に発売された『Aftermath: Empire's End』にてミスター・ボーンズはどうも破壊されているらしく、その後「ポー・ダメロン」誌にて再登場を果たすもドロイド・コマンドーに人格データを移植しての復活だそうなので、『EP7』時点でB1バトル・ドロイドの姿でいるのは矛盾なような……。まあディカーの基地にはテミンもいることですしその辺りは今後の補完に期待です。
次回配本は4月に『ハン・ソロ』を予定とのこと。邦訳希望作品を募ったアンケートハガキも投げ込まれているので皆さん、必ず出しましょう。次作は多少高くなっても表紙カバーは付けてほしいかな。
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