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山口雅也『落語魅捨理全集 坊主の愉しみ』

落語魅捨理全集 坊主の愉しみ落語魅捨理全集 坊主の愉しみ
山口 雅也

講談社 2017-05-11
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★★★☆☆
骨董好きの道楽坊主・無門道絡と巡る江戸。「猫の皿」「品川心中」「時そば」「あたま山」「花見の仇討」「そば清」「粗忽の使者」「らくだ」「田能久」などなど。名作古典落語をベースに当代一の謎(リドル)マスター山口雅也が描く、愉快痛快奇天烈な江戸噺七編を収録。


 金に目がない生臭坊主、道絡を主人公に迎え古典落語を下敷きに謎解きの要素を加えて翻案した連作ミステリ。ミステリ作家にも愛好者が多く、もはや青春ミステリや館もの等にも並ぶ一ジャンルを築いているだけにそのパターンもそれぞれで、ひと口に落語を扱ったミステリといっても噺家自身が謎を抱えているタイプ、日常の謎の絵解きでモチーフとして用いられるもの、はたまた落語の登場人物が活躍する物語など千差万別です。本作は地の文からして噺家の語り口調であり、前口上からメタネタ、パロディ入り乱れるまさしく落語そのものを文字に起こした体で全篇が綴られているのは一連の落語ミステリにおいてもかなり珍しい部類ではないでしょうか。

 そんなつくりであるが故に、本作はまず何よりも落語であることが重視され、いわゆる本格ミステリ的なロジックに満ちた謎と解決を期待して読むと少なからず面喰らいます。最後まで読んでもどれが謎なのかはっきりしない話もある上に、相当にぶっ飛んだ非現実的でファンタジックなオチが殆どです。リアリティなどクソ食らえ、言葉遊びと屁理屈が何よりも優先される落語世界の論理で筋が通っていればそれはアリなのです。現実の理を捨てるからこそ魅せられる時に珍妙で時に得心のいく結末が生むおかしさはカミ『ルーフォック・オルメスの冒険』に近しいかもしれません。
 ともあれ1本の落語として“如何に上手いことを言うか”――そこに注力しどれだけ効果的に見せるかを追求した結果、作中の記述や設定を伏線として利用するアプローチはミステリというスタイルとの親和性も高く、特に「そこつの死者は影法師」は小ネタと語感がピタリと嵌って思わず「そう来たか!」と膝を打ちました。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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