2016.08/25 [Thu]
映画『傷物語〈I 鉄血篇〉』
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★★☆☆☆
それは3月25日―― 春休みのある日のこと。私立直江津高校に通う高校二年生・阿良々木暦は、偶然に学校一の優等生・羽川翼と知り合う。彼女の口から飛び出したのは、最近出没するという「金髪の吸血鬼」の噂だった。普段人との関わりを避けているものの、気さくな翼のことを好ましく思う暦。その夜、暦は噂の吸血鬼と遭遇する。“怪異の王"キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。金髪金眼の彼女は、四肢を切断され、周囲に血を撒き散らしながら、暦に助けを請う。 求められるままに、キスショットに自分の血を与える暦。次に目覚めたとき、彼は彼女の眷属に生まれ変わっていた。 (2016年 日本)
劇場版「化物語」第1作。
今年の初めに劇場上映された西尾維新初の映画作品、「傷物語」三部作の初弾です。元々は『化物語』アニメ化直後の2010年に製作決定の報が流れたものですが、その後継続的に作られるようになった他の「化物語」シリーズに置いていかれるように何も触れられないまま長い年月が経っていましたが、昨年になってようやく再始動する形で6年越しの公開に漕ぎつけました。
一連のプロジェクトでは『傷物語』のストーリーを大きく3つに分割し、それぞれキスショットの異名にちなんだ『鉄血篇』『熱血篇』『冷血篇』の副題が冠されています。
が、これがなかなかに非道いです。各60分程度、イベント上映価格で供されているとはいえ、上映後4週は週替わりで西尾維新書き下ろしのクロスオーバー小説が配られる鬼畜仕様。肝心の本編も話の途中どころか内容的にこれからが本番といったところで幕、というブツ切り加減。オチも何もあったもんじゃありません。
かと思えば全体につけてことごとく冗長で、阿良々木君がキスショットを出逢いを果たし、彼女を助けるか否か逡巡するシーンにそこまでの時間を掛ける必要性が絶対的に感じられない。作画も演出もとても60分アニメとは思えないほどに“濃い”には“濃い”です。しかし、それが面白味をまったく生んでおらず、ただクドクドとダレる一方なのです。自分は前半でだいぶ胃もたれしてもういいわ、という気分になりました。
CGの背景に手書きの人物を載せる手法ややけに昭和じみたリアクション、意味のあるんだかないんだかな交通事故、他の人間はどこにいったのか、阿良々木家の立地にマンションもかくやな巨大すぎる学習塾跡etc……。テレビシリーズ自体がそうなのでいまさら批判するポイントでもないかもしれませんが、シャフト特有の画の平面感や比喩表現的な映像は理屈で観ようとする人間には入り込み難く、感覚で観ることを強いられるのも辛いです。これでお話が面白ければまだ良いのですけれど残念ながら1ミリたりともそんなことはないんですよね。原作の幻想的なシーンに変に改変を加えているにも関わらず、それがまた長ったらしさに拍車を掛ける要因のひとつになっているのも悪印象です。
唯一、60分の映画をたった4人のキャストで回す会話芸のみ褒められるポイントでした。金儲け主義に走った挙句、ここまでグダグダな出来上がりにしてしまった製作陣には大いに苦言を呈したい。
OPになんとなく『ゲゲゲの鬼太郎』3期、4期の頃の高度経済成長とバブル景気で林立するビル群の影に潜む怪異な雰囲気が出ていたのは嬉しかったです(あくまでも主観ですが)
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