2015.12/17 [Thu]
セシル・カステルーチ&ジェイソン・フライ『スター・ウォーズ ジャーニー・トゥ・フォースの覚醒 反乱軍の危機を救え!レイア姫の冒険』
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★★★★☆
時はさかのぼり、反乱軍はホスの基地をも失い、宇宙のあちらこちらに分散していた。ある日、レイア姫は反乱軍の極秘会議で、帝国が第二のデス・スターを建設中という驚きの事実を知らされる。この巨大兵器が完成するまでに、全兵力を集結させる必要がある反乱軍のため、レイア姫はある作戦を編みだすのだが……。
「ジャーニー・トゥ・フォースの覚醒」シリーズ 第3作。
ルーク編、ハン編に続いて3作品中唯一、『EP5』と『EP6』の間のストーリーです。3ABYから4ABYに掛けての出来事としては旧レジェンズでゲームに小説、サントラまで幅広く展開された『帝国の影』が有名ですが、本作ではそれよりもさらに後――『EP6』に直接繋がるレイアとナイン・ナンが派遣されたある重大任務の顛末が綴られます。
堅物ボディーガードのロック、実直なアンロット、心配性のキディら個性豊かな面子と共に帝国の網を掻い潜り、いくつもの星でミッションをこなすうち一心同体の仲間として打ち解け、結束を深めつつも、それらが実は囮作戦でありその真意を話せずにいるレイアの苦悩、見ようによっては無用に命を懸けさせていることへの罪悪感が大きな読みどころとなっていて、ジュニアノベルどころか一般向け小説並みの満足感がありました。
作戦実行にあたって各々の惑星に住む無辜の人々の平穏が脅かされている事実について問題提起が行われるのも、よくぞそこまで突っ込んでくれた!という感じです。確かに第二デス・スターを破壊し、平和を取り戻すためには大切です。しかし、その過程で誰かを不幸な目に遭わせてしまっているのなら、たとえ自由のための意義ある行為だと主張したところで、それは帝国の掲げる大局のために個を犠牲にする姿勢とどう違うのか?という話ですよね。
そうした視点にまで切り込んでいるからこそ、ひとりひとりの命がより尊いものに感じられ、本作品ひいてはその上に成り立つ『EP6』の物語が重くなる。映画本編とのマニアックな繋がりもあって、旧三部作のブリッジ小説としても非常に完成度が高かったです。
一方で導入部では『おれたちの船って最高だぜ!』でハンとチューイーによって救出されたイーマット中尉がレジスタンスの大佐として登場し、エピローグの思わせぶりな台詞といい『フォースの覚醒』から始まる続三部作への期待も煽る煽る。
新三部作における『悪の迷宮』のような面白さと、レジェンズでいうところの『タトゥイーン・ゴースト』的な側面を持ち併せた作品です。
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