2015.12/15 [Tue]
ジェイソン・フライ『スター・ウォーズ ジャーニー・トゥ・フォースの覚醒 ジェダイの剣術を磨け!ルーク・スカイウォーカーの冒険』
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★★★★☆
時はさかのぼり、ヤヴィンの戦いのあと、デス・スターを吹き飛ばして反乱軍の英雄となったルーク・スカイウォーカーは、フォースのお告げを受けて惑星デヴァロンに降り立った。顔のない不気味なエイリアン・サルコをガイドに雇い、古いジェダイ聖堂の遺跡に潜入したルークだが、そこで待っていたのは、ライトセーバーの厳しい訓練だった……。
映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』と旧三部作を繋ぐ意図で書籍展開されたプロジェクト、「Journey to Star Wars:The Force Awakens」の一環であるジュニア小説の邦訳版です。原書が今年10月のリリースです
からなんとたったの2ヶ月で日本上陸、しかも『フォースの覚醒』公開前での刊行とは有り難い。さすがは天下のディズニー様、その実行力には恐れ入ります。
詳しい年代は不明ながら『EP7』の直前に当たるいつかの時代。ファースト・オーダーと戦うレジスタンスの女性パイロット、ブルー3ことジェシイカ・パバが格納庫で出逢った赤腕のC-3POに聞き出した昔話という体がとられ、『EP4』直後にルークの身に起きたとある出来事が述懐されます。
時は0ABY、反乱軍の任務をこなす道程で機体に損傷を負ったルークは“何かある”と感じたデヴァロンへと着陸し、フォースに呼ばれるまま立ち入り禁止の廃墟と化した古い遺跡を見つけます。この寺院こそがかつて銀河の各地に造られたジェダイ寺院のうちのひとつであり、ジェダイとしての進むべき指針を探していたルークは手掛かりを求め、その場所へと足を踏み入れます。
そこではかつてのパダワンたちがライトセーバーの剣技を磨くために行っていたプログラムがそのまま遺されており、ルークは導かれるままフォースの意思を感じ取り、オビ=ワンを失ったことで中断せざるを得なかったライトセーバーを操る練習を再開させるのでした。
3PO曰くこの物語がルークによるライトセーバーでの初戦闘だそうで、時系列を整理すると同じく新カノンにおける『EP4』と『EP5』の間を描いた作品『ジェダイの継承者』より前に位置するハズなのですが、あちらではヌードル1本動かせなかったルークがフォースでレバーを動かしたこと、ヤヴィンの戦い以来オビ=ワンの声を一度たりとも聴いていないという文章と完全に矛盾しているからややこしいことの上ない。
前者はジェダイの寺院というフォースの溢れる力場のような場所であったこと、後者は3POが尤もらしく話を盛っただけと無理やり解釈できなくもないのですが、旧スピンオフ群を一旦リセットさせてわざわざレジェンズとカノンに区分しておきながら、まだまだ出版数の少ない各小説間で整合性を欠いているテキトーさはなんとも言えません。
ルーカスフィルム ストーリー・グループはちゃんと仕事しろ。何のための専用部署だ。
また、「ジャーニー・トゥ・フォースの覚醒」ということで『フォースの覚醒』に向けたヒントが多く隠されているのも本書の特徴です。本作でルークのガイド役を務める“スカベンジャー(ごみ漁り)”の異名を持った顔のないエイリアン、サルコ・プランクは玩具情報も出回っており、映画にも出演するキャラクターのようです。ニヒルでクレバー、エレクトロスタッフ(グリーヴァス将軍の護衛ドロイド、マグナ・ガードが使用しているアレ)を用いて敵を薙ぎ倒してゆくサルコは実に好みなキャラ造形で、『CW』のキャド・ベインに通ずる渋恰好良さがありました。
この描写を見るに、『EP7』の予告やポスターでレイが持っている棒もエレクトロスタッフなのかな? ルークの隠遁先が本作で登場したデヴァロンのジェダイ寺院である可能性もありそうです。
一般向けほどのボリュームや読み応えこそありませんでしたが、鬱蒼としたジャングルの寺院でフォースの神秘に触れ、ジェダイの道を自覚していくルークの物語は極めて面白く、自分的にはかなり楽しめた一作でした。
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