2015.11/19 [Thu]
ケヴィン・ハーン『スター・ウォーズ ジェダイの継承者(下)』
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★★★☆☆
帝国の監視下で幽閉されている暗号解読者を救出したルークたちだったが、帝国軍に指名手配され、賞金稼ぎからも追われる身となってしまった。この窮地を乗り越え、作戦を無事に遂行するためには、目覚めたばかりのフォースをあやつる必要がある。そう考えたルークは、オビ=ワンとの修業を思い出し試行錯誤をかさねていた。だが、帝国の攻撃が容赦なく彼らに迫る……。
「ジェダイの継承者」下巻。
かろうじて追っ手から逃れ、護送対象であるドルーシルを無事保護したルークたちですが、帝国は全星系を封鎖。お尋ね者として頼れるもののない厳しい旅を依然として強いられます。絶体絶命の包囲網を命からがら潜り抜けていくパイロット技術はさすがの父親譲りで、まだまだ超然としたところのない未熟な素人だからこそ危なっかしさが展開をスリリングにしてくれます。
そんな中でルークにジェダイとしての在り方、フォースとの繋がり方に対する閃きを与えたのがナカリではなくドルーシルだったのには意外でした。人間とはまったく異なる数学的思考に基づいて生きているギヴィンの文化がルークに新たな視点を与え、それがフォースを理解するための一助となる。これは物語上かなり重要な要素といえるでしょう。
というのも、オビ=ワンと出逢い、ハンたちと共に冒険に繰り出すまでのルークはしがない水分農家の青年に過ぎず、その世界も非常に閉じたものだったわけで。それがタトゥイーンを飛び出し、本来の人生を送っていたならばまったく接点がなく、重なり合うハズのなかった種族と知り合うことで新たな見地に目覚めるというのは、まさしくこの瞬間、ルークが単なる田舎青年から全銀河的な視野を持った人間へと変わった証拠に外なりません。つまり、『EP4』のクライマックスではなく、ここで初めてようやっとジェダイであり英雄であるルーク・スカイウォーカーが生まれるのです。この役目をナカリに負わせていたら、ただの安直なロマンスもので終わってしまうところでした。
そう考えると本作のラストもジェダイの道を歩み始める覚悟を試す第一歩のように感じられ、これを乗り越えたからこそ『EP5』以降のルークがあるのだと思います。
ちなみに旧“レジェンズ”群込みだと、この直後に「SW」スピンオフ小説第1号である『侵略の惑星』がくるハズなので、『EP7』公開前の復習がてら今作を踏まえた上でそちらも読んでおきたいです。
次回配本は『ターキン』とほぼ同時期、ライロスの反乱分子をヴェイダー卿が粛清に掛かる『ロード・オブ・シス』。『クローン・ウォーズ』にも登場し、『反乱者たち』のヘラの父親であるトワイレックのリーダー、チャム・シンドゥーラが活躍する話だそうなのでアニメへの理解を深めるための副読本としても期待大。
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