2009.03/29 [Sun]
平田研也『つみきのいえ』
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★★★☆☆
そして おじいさんは、 ずっと ここに すみつづけてきたのです。
水が増え続ける土地でつみきのように家をつみ上げ、つみ上げ、たった一人で暮らすおじいさん。彼にはこの土地を離れられないわけがあるのです…。ある日のこと、落し物を探すために海に潜って階下に降りたおじいさんが見たものは…。
いうまでもなく、アカデミー賞受賞の短編アニメ映画の絵本ライズ(?)。
つみき=階とはつまり、自分の人生の中の瞬間瞬間で。下へ下へと潜ることによって過去の足跡をたどります。ああ、そうだった。あんなことがあった、こういうこともあったなあと。そして、いちばん最初には“はじまりの日”のことが、大切な記憶として眠っている。
水かさは記憶の浸透度。海は“記憶の海”――深くなるほど濃い色になる。その色が濃いほど、おじいさんにとっては深くて大切な記憶なわけです。“はじまりの日”は、まだ水がきていない日。そこが、そこからがはじまりだから。
そして。おじいさんはまた新しい日々と共にいえを重ねていく。単に感傷に浸って終わるのでなく、こうした“明日から”も描写しているのが良い。
とはいえ。自分にはもう少しつみきを重ねてからでないと、この本の本当の良さはわからなそう。
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