2015.06/29 [Mon]
ジェームズ・ルシーノ『スター・ウォーズ ターキン(上)』
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★★★★☆
感謝します、シーヴ
アウター・リムに位置する惑星エリアドゥの由緒正しき一族の末裔にして、銀河帝国初代モフの称号を与えられた孤高の総督、ウィルハフ・ターキン。彼は辺境の惑星から、いかにして帝国の階級ピラミッドを駆け上がり、最大級の実力者に成り上がったのか――グランドモフ・ターキンのルーツが、いま明らかになる!
「スター・ウォーズ ターキン」上巻。
「SW」新「カノン」の邦訳最新作を早速ゲットしてきました。タイトルからも察しのように今作の主人公はあのウィルハフ・ターキン! 『EP4』に登場するデス・スターの冷徹な司令官としての役回りとその特徴的な輪郭に、「SW」ファンのみならず一度しか観たことのない人でも強く印象に残っているだろうキャラクターです。
ターキンといえば言わずと知れたグランドモフであり、デス・スター計画の総責任者。ファンにしてみれば超メジャー級のキャラクターではありますが、そうはいっても映画の中で特段大活躍を見せるわけでもないあくまで一軍人の生い立ちを綴った渋すぎるセレクトを易々と文庫で出してしまえるのは、さすが天下のディズニー様。「ボバ・フェット」は打ち切られ、『フォース・アンリーシュド2』も『ダース・プレイガス』も訳されずに辛酸を舐めていたあの頃とはもう違います。これが無限のパワーか……。
本作の設定年代は14BBY、『EP3』から5年後ということで前回刊行された『新たなる夜明け』と同じく、これまでスピンオフでもあまり取り上げられてこなかった新旧三部作の合間を描いた作品になっています。
主人公がターキンなこともあってクローン大戦終結後の、過渡期の帝国の内情を中枢から知れるのが希少です。出番自体は少ないながら帝国上層メンバーの会議において、セイト・ペスタージュや『EP4』にも登場し『CW』でメイン級に昇格したウルフ・ユラーレン大佐の台詞があるところにもファン心をくすぐられます。
『CW』放送時は日本は「SW」低迷期で関連スピンオフが殆ど訳されてこなかったこともあり、活字でアソーカやアニメの出来事に触れられているのも新鮮でした。皇帝としてはターキンとヴェイダーの両翼に協力関係を築いてほしくてことあるごとに組ませているのに、アソーカ冤罪事件をターキンが扇動したことが禍根となって主にヴェイダー側から決定的な不和を招いているあたり、相変わらずパル様は気苦労が絶えないなぁと。
そのパルパティーンのファーストネームが“シーヴ”であったことが明かされるのも、本書における最大のトピックでしょう。
ジェームズ・ルシーノらしく『偽りの仮面』から『暗黒卿ダース・ヴェイダー』、『崩壊の序曲』といった過去のスピンオフ小説への言及も多く、さすがに「NJO」絡みの『ローグ・プラネット』は(特にデス・スター関連において)設定変更を余儀なくされているにせよ、驚くほど旧「レジェンズ」群から地続きになっていたのは予想外でした。
これまでの情報だと『EP7』製作に当たって過去30年に渡るスピンオフ設定は総リセットされたという話でしたが、実際には余程致命的な矛盾がある作品以外は基本的にそのまま新たなユニバースに存在している、と捉えて良さそうです。まあ、作品間の矛盾なんて従来のスピンオフにも腐るほどあったわけで。そこらへんを強引に辻褄合わせできる作家が何となく上手にやってくれることでしょう。
あれでしょう? クローン大戦期間中にパルパティーンとターキンが必要性を論じた“そのような”大型兵器こそが 『ローグ・プラネット』のラストでターキンが持ち帰った小惑星型バトル・ステーションのアイディアで、建築中のデス・スターとは似ても似つかない代物だった、みたいな。
この、脳内補正をガンガン働かせて無理くりこじつけていくのもスピンオフの愉しみのひとつよ(歪んでる
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