積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

西尾維新『掟上今日子の推薦文』

掟上今日子の推薦文掟上今日子の推薦文
西尾 維新 VOFAN

講談社 2015-04-23
売り上げランキング : 323

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★☆☆
私が探偵をやっている理由は――私が探偵をやっている理由を知りたいからですよ
美術館で警備員を務める青年・親切守。彼が警護するエリアには訪れるたび、決まってある絵の前で立ち止まる白髪の美女がいた。彼女は掟上今日子。またの名を、忘却探偵。二人は警備員と観覧客のはずだった。美術品を巡る、数々の難事件が起こるまでは――。


「忘却探偵」シリーズ 第2作。
 記憶を一日しか保てない名探偵・掟上今日子を主人公にした、西尾維新によるミステリ最新作です。「今日子さんには今日子しかない」との作中の文章どおり、前作で築かれた人間関係は今巻では引っ張らず、時系列的にも内容的にも一切の繋がりを断って、新たな語り部を迎えて物語が進行します。
 今巻では美術と絵画をテーマにしていることもあり、装画の凝りようは恐らくVOFAN史上随一ではないでしょうか。前作の表紙がイマイチときめかなかっただけにこの美しさには惚れ惚れしました。

 連作短編集であった前巻とは異なって、今作は二億円の絵画の価値が二百万円に変わってしまった謎が描かれる第一章を導入に、画家の卵たちが生活するタワーマンションで発生した刺傷事件をメインに据えた長編テイスト。たった一日で記憶を失ってしまうが故に名探偵である今日子さん自身の発言の矛盾が解くべき謎を創出し、自らそれを解き明かすマッチポンプ的なシチュエーションを生んでいるのが面白いです。
 長編ミステリとしては登場人物の数が極端に少なく、多くの人間が居住する高層マンションという舞台のわりには犯人当ての楽しみが大幅にスポイルされているとはいえ、階段に残された血痕から組み立てられる一連のロジックには目を見張るものがあり、被害者の目指した『最後の仕事』とは何ぞや?に用意された答えの意外性、そこに至るまでの伏線の丁寧さには関心させられます。

 ストレートな伏線で真相に気付かれるのを回避したかったのか、特に第一章においては一部に描写の不足を感じないこともないにしろ、その他の要素からも充分推理は可能であり、アンフェアにならないギリギリで踏み留まっているため、謎解きミステリとしての完成度も前作よりも高いです。
 読後感もハートフルかつ爽やかで、読んで良かったと思える一作でした。


スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析