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相棒 Season 13 最終話「ダークナイト」


★★★★☆
 杉下右京の失敗、或いは“暴走させる”正義。法で裁くことのないできない悪党を襲う連続暴行犯・ダークナイトが話題となる中、遂には同様の手口による殺人事件が発生。これまでとは異なり人死にが出たことで、カイトくんは今度の事件が模倣犯である可能性を指摘し――ということで、取り立てて予想外なミスリードもなく、あらすじと予告から想像したとおりの最悪すぎる結末に着地してしまいました。
 確かに、私も以前から一度くらい右京さんと決別する“相棒”、1シーズンで退場するような失敗例があっても面白いと発言したことがありますが、3年という期間を使って育ててきたキャラクターを公式がこうも無下に放り出してしまうとは思いもしませんでした。各誌インタビューで水谷さんが答えているように、まさに「相棒そのものが最終回であってもおかしくない」終わり方です。

 話の展開自体は悪くありません。友人の妹が通り魔に殺され、その犯人が無罪放免となったことで親友に代わって仇討ちを行った。最初は友人の心情を慮っての行為だったものが段々と世評にのせられて目的を見失い、犯罪者としてエスカレートしていった。しかもそれが右京さんの“相棒”であるカイトくんであった。それはまあ、良いでしょう。
 問題はそこに至るまでのエピソードにおいてまったく布石が敷かれていなかったことで、2年前から活動していたダークナイトが今回初めて話題に上り、「実はずっとカイトくんがやってましたー(あっかんべー)」と視聴者をおちょくるようなネタバラシを行ったことにあります。
 いや、さぁ。カイトくんが関わった事件で悪党を裁けなかったケースもいくつかあったし、参入当初は激しやすく手が出やすい性格だったこともあり、闇の仕置き人であったこと自体にはそこまでダメダメなわけではないんですよ。
 ただ、それならそれで今シーズンに入ってからの話の中でもさり気なくダークナイト云々という言葉を散らしたりする配慮、視聴者を段階的に馴らしていくための布石を打っておくことが必須でしょう。

 『相棒』は前々から行き当たりばったりでシリーズ構成がまったくできていませんでしたが、その煽りがここにきて噴出しましたね。百歩譲って脚本家間での連携がとれていなかったとして、今シーズンは輿水脚本が4回(そのうち2本は前後編)あったわけで、輿水担当回だけでも伏線を仕込むことは可能だったハズです。というか、そもそも悦っちゃんの病気&妊娠がこのラストにおいては何の意味も果たしていない時点で、そんなものに時間を割くくらいならダークナイトネタでも入れとけよ、と。『相棒』の生みの親だか何だか知らないけれど、無能も良いところ。それに乗っかって視聴者の反応も予測できず、サプライズ偏重で大いにやらかしたスタッフも重々反省して頂きたい。

 亀山薫、神戸尊とふたりの“相棒”を経て人材の墓場から後進の育成を考えるまでに変わっていった右京さん。その結果がこの失敗であり、杉下右京という劇薬にアテられた甲斐享という誰も得をしない結末を、いったい誰が望んだというのでしょう。
 カイトくんと対峙する右京さんは今にも泣きそうですらあって、この事件を契機に右京さんがかつての尖がったやさぐれ右京にいっきに揺り戻されてしまいそうな悪寒すらあります。人は変わっていくものですが、15年やってこのふりだしに戻る的な展開。ほんと何なの?
 もはや脚本家の中にある杉下右京像と現実の(ドラマ内で描かれる)杉下右京が乖離していることを、まったくもって理解していません。
 重ねて言いますが、単体の話としては悪くはなかったです。ただ、連続ドラマとしては構成が致命的にバツ。今後の展開を見据えると、カイトくんには再登場の機会を与えて何らかの救済を行わない限り、製作スタッフの罪は贖えないと思います。
 例年のように来シーズンを期待して待つ、とは言えない心境です。


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Comment

NoTitle 

初コメです、突然申し訳ありません。
この回に関する感想をネットで拝見しているのですが
やはり批判が多いようですね。
S1からここまでの作品をすべて視聴していますが
これまでのシーズンで評価をつけるなら

亀山期S1~S5>神戸期>亀山期S6~S7前半>カイト期
といった感じですあくまでも個人的な意見ですが。

相棒はS5までは高水準だったのがS6からネタ切れのためか
質が下がり始めてきて、シーズンを重ねるごとに
どんどんその傾向が強くなっているように感じます
でもS9はいい作品が多かったかな?
相棒が誰なのかではなく脚本があんまりおもしろくないと思いますね
成宮君が気の毒です。
ちなみに来シーズンに関しては、
櫻井さん、古沢さん、戸田山さんが戻ってくるのなら
見てみようかなと思いますが、この3人が戻ってこないのなら
見るつもりはないです。

なんか愚痴っぽくなってしまってすみません
突然のコメント失礼いたしました。



  • posted by ギル 
  • URL 
  • 2015.05/18 18:50分 
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  • [Res]

コメントありがとうございます 

エピソードの内容だけ見るとそう悪くないのに、
何の布石もなくカイト=ダークナイトをやらかしたのが良くなかったという意見も結構見掛けますね。
ぶっちゃけ雑というか。インパクトを重視しすぎて丁寧さに欠けるというか。

S9良いですよね! 私の中で『相棒』ベストシーズンです。
(ワーストがその次のS10なのですが……)

亀山後期は確かにあまり印象に残らない話が多かったですが
卒業を前に気を引き締めたのか、S7はかなり力が入っていました。
カイト編もS11の後半は傑作揃い、S12「序章」とあながち捨てたものでもないと思います。

ギルさんの仰るとおり、今期はこれまで『相棒』を支えてきた脚本家の不参加が目立ち
目に見えて酷い話はなかったとはいえ、全体に無難な出来で終わってしまった印象があります。
ここらで本職のミステリ作家である碇卯人こと鳥飼否宇に脚本に迎えても面白いかなぁ、と。
それから輿水氏を過大評価しすぎないことも。

自分としては脚本家も大事ですが、まずは何よりもシリーズ構成を置いてほしいです。
松本GP時代からライブ感重視の作風でしたが、今回の一件で脚本家間の連携の取れていなさが
いよいよ本格的に取り返しの付かない形で露呈しまったので。

S13の1話からしっかり伏線張ってやっておけば
むしろ評価されても良いくらいのオチを、こんな片手間なノリで使ってしまったのは悔いても悔い足りません。


  • posted by はろーすみす 
  • URL 
  • 2015.05/19 00:51分 
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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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