積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

知念実希人『天久鷹央の推理カルテ』

天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫)天久鷹央の推理カルテ (新潮文庫)
知念 実希人

新潮社 2014-09-27
売り上げランキング : 5655

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★★☆
統括診断部。天医会総合病院に設立されたこの特別部門には、各科で「診断困難」と判断された患者が集められる。河童に会った、と語る少年。人魂を見た、と怯える看護師。突然赤ちゃんを身籠った、と叫ぶ女子高生。だが、そんな摩訶不思議な“事件”には思いもよらぬ“病”が隠されていた…? 頭脳明晰、博覧強記の天才女医・天久鷹央が解き明かす。


「天久鷹央の推理カルテ」第1作。
 新潮文庫が手掛ける新レーベル、新潮文庫nexラインナップ作の1冊。イラストを全面に押し出した表紙からもわかるように、メディアワークス文庫の『ビブリア古書堂の事件手帖』の大ヒットから連なる昨今のいわゆるライトミステリブームの流れを受けて新設された、ライトノベル寄りの一般小説に力を入れたレーベルです。
 最近では似たような系統として富士見L文庫や集英社オレンジ文庫などでもライトノベル作家を引っ張ってきて新レーベルを創刊しているのですけれど、そこはより名作志向、お堅さに定評ある新潮文庫だけあって、福ミス作家から講談社BOX、講談社Birth出身者まで気鋭のミステリ作家を青田刈りしているところも大きな特色でしょう。

 本作、『天久鷹央の推理カルテ』もその例外でなく、人遣いは荒いが腕は確かな合法ロリの天才女医という極めてキャッチーなキャラクターを探偵役に据え、院内で持て余された厄介な患者たちの不可思議な訴えの数々を解き明かしていく連作ミステリとなっています。
 医療ミステリというと専門的なジャンルだけにどうしても小難しさ、とっつき難さが先行してしまいがちですが、本書では賑やかな登場人物たちのノリにつられて軽く読め、さりとてお話としては決して軽くはない。尚且つ社会派ミステリではなく、名探偵による謎解きをメインにした本格に仕上がっている非常に稀有な作品です。
 イチ押しはKarte.02「人魂の原料」で、いわば日常の謎系医療ミステリとでも言うのでしょうか。常人の思考回路ではまず考えられない異常行動が病気の存在によって肯定され、病院が舞台だからこそ通じる“患者の論理”が謎の解明に組み込まれているところには唸らされました。 

 これは大いにオススメしたい。イラスト担当はまさかのいとうのいぢという豪華さだし、なかなかに売れているようだし、太田紫織『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』もアニメ化されるしで、こちらも是非とも映像化まで漕ぎつけてほしいところです。


スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析