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積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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北山猛邦『ダンガンロンパ霧切(3)』

ダンガンロンパ霧切 3 (星海社FICTIONS)ダンガンロンパ霧切 3 (星海社FICTIONS)
北山 猛邦 小松崎 類

講談社 2014-11-28
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★★★☆☆
君の関わった『黒の挑戦』を見た。もっぱら君の無能ぶりが評判だったが、我輩は君を笑うことができなかった。
何故だかわかるかね?
――かつての我輩と似ていたからだ。それどころか、君のひたむきさは尊敬に値する。

「時間内にすべての事件を解決するか、あるいは未然に防ぐことができたら君の勝ちだ。だが一つでも解決できない事件があったら君の負け。いかがかね?」 ノーマンズ・ホテル事件から生還した霧切響子と五月雨結を待ち受けていたのは新たなる“黒の挑戦”、難攻不落の「密室十二宮」! 絶体絶命の霧切の前に現れた最後のトリプルゼロクラス探偵・御鏡霊は敵か、味方か!?


「ダンガンロンパ霧切」第3作。
 本家『ダンガンロンパ』ファンからの支持も厚く、前巻は昨年度『本ミス』第18位にランクインするなど、もはやいちノベライズ企画の枠を越えて作者の看板シリーズとなりつつある中学時代の霧切響子を探偵役に据えたミステリの第3弾。
 かくいう私も本作はいま現在最も続きを楽しみにしているミステリシリーズでして。年末のランキング本のために発売からこっちずっと読めずにお預け状態が続き、歯痒い思いをしていました。おかげで星海社の美麗な白ページが日灼けするという悲しい事態まで……。いや、ちゃんと本棚にしまっておかなかったのが悪いのですが。

 いよいよもって犯罪被害者救済委員会が本格的に動き出し、霧切ちゃんと結お姉さまへ敵方からのアプローチが。一週間以内に十二の密室殺人を未然に防ぐか解決することができれば組織の中心メンバーでありトリプルゼロクラスの名探偵・龍造寺月下が委員会から脱退する旨を誓い、物語は新章ともいうべき「密室十二宮」編に突入します。使命感に燃える五月雨結に突き付けられる十二枚の“黒の挑戦”という怒涛の流れには、そのインパクトも手伝って否が応にも盛り上がります。
 しかしながら前作から大幅なボリュームダウンを見せた頁数からも察しのように、今巻で描かれるのは武家屋敷の剣道場で起こる密室殺人の一件のみで、最後のトリプルゼロ・御鏡霊をめぐるサスペンスに比重が割かれてミステリ部分がとって付けたような軽さで扱われているのが残念です。13億の化け物クラスであったノーマンズ・ホテル事件に対して1億円の雪密室はコスト面でもかなり小スケールなものとなり、天文台での監禁事件から始まる推理劇、濃密のデスゲーム&コンゲームを繰り広げ大規模な物理トリックが披露された既刊と比べると歯応えのなさでは断トツです。
 そのぶん、この先の展開に期待を持たせるための仕込みは着々と行われていましたが、単体で見ると箸休めの“つなぎ”である感は否めません。

 それはそうとて心身共に疲弊し切ってボロボロな霧切ちゃんを支える結お姉さまが、彼女を自分の妹とダブらせて闇堕ちしそうなフラグを立てまくっているのが不穏すぎる。高校生霧切さんの手袋の秘密を鑑みると心が引き裂かれるようなバッドエンドしか浮かばないのですが、このふたりのコンビは本当に好きなのでなんとか幸せになってほしいものです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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