2009.11/11 [Wed]
西尾維新『刀語 第一話 絶刀・鉋』(2008年以前の読書感想 補完)
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★★★★☆
「虚刀流はよ、刀を使わないからこそ強いんだ」 伝説の刀鍛冶、四季崎記紀がその人生を賭けて鍛えた12本の“刀”を求め、無刀の剣士・鑢七花と美貌の奇策士・とがめが征く!刀語、第1話の対戦相手は真庭忍軍十二頭領が1人、真庭蝙蝠!
「刀語」第1作。
一応、“ごくたまに、過去の読書感想も補完してます”と銘打ってはいるものの、過去の感想補完は実に半年振りになります。ほんとに“たまに”ですけれど、そういうのも“たまに”は良いかなぁと。
(一応、目標は“作家作品別アーカイブ”に載せてあるやつ全部の補完なんですけど……はい、ムリですね)
というわけで、本題。
人生において「これはやられた!」と、まさに目からウロコなミステリに、果たしていくつめぐり逢えることでしょうか?思い返してみると、掛け値なしで絶賛できる作品はそう多くないことと思います。本書は『刀語』という小説の1冊目ということで、その値段の高さとキャラクターの違和感ある言葉遣い、語り口のテンションについていけないこともあり星の数をひとつ減らしましたが、作品内で“やっていること”に関しては間違いなくミステリトリックの殿堂入りです。
この『刀語』というシリーズ、どう捉えるかは人に拠りけりでしょうけれど、個人的にはミステリだと思っています。敵との戦闘を開始するまでの間の文章にきちんと伏線が張られており、それまでが問題編、戦闘で七花が相手に勝った瞬間からが解決編という構造です。読者は戦闘が始まる前までに、一見攻略不可能と思われる敵を倒す方法を推理する材料はすべて与えられており、論理的にその過程を推理することが可能です。つまり、『刀語』という作品は、バトルもの皮を被ったミステリ小説――攻略方法を推理する攻略系ミステリであるわけです。
そしてこの『絶刀・鉋』、凄い作品です。
これがアリかナシかと問われれば、間違いなく人によって分かれる作品です。ナシと答えた人には「そんなバカなww」と感じるでしょう。しかし、これが“有り得る”と思える人にとってはかなり衝撃のトリック(攻略法)です。高田崇史の『QED 式の密室』に衝撃を受けた人には、恐らくこの作品も同等の衝撃を受けると思います。すべては読者各々の捉え方に掛かっていますが、それでもこの作品、自分にはかなりのレベルのことをやっているように思います。
(2008年以前の読書感想 補完)
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