2014.11/07 [Fri]
乾くるみ『セブン』
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★★★★☆
「――というわけで、うちの寿命の三年と九ヵ月を遣うて、本格的なデスゲームが楽しめるように舞台を整えさせてもらいました」 私立曙女子高等学院の生徒会室に集まった七人の生徒たち。生き残りをかけて互いを出し抜く頭脳戦がいま、始まる・・・・・・!?(「ラッキーセブン」) 他、6篇。
数字の「7」にちなんだ小説が7本収められたノンシリーズものミステリ短編集です。収録作のどれもが「7」をテーマにしてはいるものの、それぞれの話に具体的な関連性はなく完全に独立した作品となっています。
各章ごとに内容も長さもまちまちで、女子高生同士が知恵を絞ってしのぎを削るコンゲームもあれば、歴史ミステリをパロったかのようなこじつけの連発で笑いを誘うユーモア小説、双子を用いたオーソドックスな殺人事件からSFまで実に幅広いジャンルがカバーされており、中にはたった数ページの掌篇もあるなど直球から変化球、硬軟自由自在の非常にバラエティに富んだ内容です。
ミステリ的に突出しているのはやはり第1話「ラッキーセブン」と最終話「ユニーク・ゲーム」の2本。シチュエーションこそ違えど両短編とも命を懸けた論理ゲームが主軸となるお話で、一見すると簡単そうに見えるゲームのルールからあらゆる可能性を想定、排除し確実に勝てる手段を選択してゆく徹底されたロジカルさは作中の登場人物のみならず、読者に対しても高度な読み合いと置いていかれないだけの思考力を強いられます。
タイムリープと時系列シャッフルを利用して先を読ませない展開で惹きつける「TLP49」もオチが洒落ていてなかなか良かったです。
あまりの複雑さにともすれば振り落とされてしまいそうな作品もありますが、立ち止まったまま呑み下そうと延々足踏みするよりは、習うより馴れろの精神でどんどん読み進めていった方が理解しやすいかもしれません。
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