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周木律『伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~』

伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社ノベルス)伽藍堂の殺人 ~Banach-Tarski Paradox~ (講談社ノベルス)
周木 律

講談社 2014-09-04
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★★★★☆
警察庁キャリアの宮司司は、大学院生の妹・百合子とともに宗教施設として使われた、二つの館が佇む島―伽藍島を訪れる。島には、数学史上最大の難問・リーマン予想の解法を求め、超越者・善知鳥神や、放浪の数学者・十和田只人も招待されていた。不吉な予感を覚える司をあざ笑うかのように、講演会直後、招かれた数学者たちが姿を消し、死体となって発見される。だが、その死体は、瞬間移動したとしか思われず……?


「堂」シリーズ 第4作。
 デビュー作以来、講談社ノベルスでシリーズ化されている十和田只人が活躍する数学ミステリ。『五覚堂の殺人』、『災厄』に続いて早くも今期3本目の刊行であり、座談会でも褒められていた筆の速さは確かです。
 これまでの作品では山中に人知れず建っている館が舞台となっていたのに対し、本作はシリーズ初の孤島もの。「中身のつまった球体Kが『ひとつ』ある。この球を、適当に有限個に分割し、再び寄せ集めることによって、球体Kを『二つ』つくることができる」なる数学的にも論理的にも正しいが、どうあって間違っているとしか思えない“バナッハ-タルスキのパラドックス”を教義とするBT教団の所有する伽藍島にて、不可解な状態で発見された串刺し死体、伽堂と藍堂――ふたつの館の間を移動したトリックの謎を暴きます。

 大ネタの仕掛け自体はいつもどおりにありがちながら、館トリックにおけるお約束を開き直ったとしか思えないほどこれでもかと濫発し、結果として複雑怪奇な物理トリックを組み上げているのはなかなかです。これ見よがしな回収こそされていませんが、冗談めかした館の構造そのものが作中で言及されているとある考え方の見立てとなっている点もグッドでした。
 しかし何より衝撃なのは終盤に用意されているどんでん返しです。こういうひっくり返しは単体の作品やシリーズものの第1作であればそれなりに見ないでもないけれど、完結編でもない目下シリーズ続刊中の状況でやってしまうとは。しかもそれが、バナッハ-タルスキ・パラドックスと並ぶ本書のもうひとつの数学的テーマとしっかり絡んでリンクしている。“極点”の謳い文句に偽りなし。これには驚かされました。
 いやさ、このシリーズこれから先どうするつもりなんでしょう?


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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