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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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高田崇史『神の時空 -倭の水霊-』

神の時空 ―倭の水霊― (講談社ノベルス)神の時空 ―倭の水霊― (講談社ノベルス)
高田 崇史

講談社 2014-07-03
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★★★☆☆
OLの涙川紗也は、横浜・レンガ倉庫近くで男の死体を発見。現場を走り去った彼女は、容疑者として、警察から追われる身となってしまう。その頃、東海地方では、いつ止むとも知れぬ豪雨が降り続いていた――。一見、無関係に思える二つの現象。だが、背後に蠢く闇の存在を感じた辻曲兄妹が探索を開始すると、一人の古代史上の人物が浮かび上がってきた。その名は、日本武尊……。


「神の時空」第2作。
 高田崇史による伝奇小説シリーズの2作目です。今作では時系列を第1巻より前に遡り、ヤマトタケルとその妻・弟橘媛の悲劇の物語に隠された真意にスポットが当てられます。
 入口こそ様々な文献に残されているヤマトタケルの伝説があまり英雄然としたものではない、との疑問から始まるものの、本書における真の主役は弟橘媛であり、ストーリーが進むにつれて主人公との間にも関係が見え始め、最終的に怨霊と化した弟橘媛の鎮魂に繋げます。

 前巻に比べると歴史講義の唐突さ、鎮魂場面の茶番っぽさはだいぶ改善されてきましたが、怪しい人物が思いきり怪しく、著者が仕掛けようとしているサプライズが簡単に見え透いてしまうのは未だ瑕。「QED」の頃から延々と繰り返されてきた“あのテーマ”も登場し、高田崇史の歴史ミステリとしては既に行き着くところまでいってしまったマンネリ感も拭えません。
 ひとつひとつの話は興味深いし読んでいて退屈しない程度に楽しめはするのですけれど、それ以上の「面白い!」がいまいち出てこないというか。全8巻読んでの感想が「巳雨ちゃんかわいい」で終わってしまいそうな気もするのが怖いです。序盤からこれで本当に大丈夫なんでしょうか?
 美麗で幻想的な表紙だった前作とは打って変わって、カバーが地味にスタンダードなつくりになってしまったのも残念です。こるものさんの「THANATOS」シリーズも途中から写真ぷっくりじゃなくなったし、講談社ノベルスってたまにこういう手抜きをするんだよなぁ。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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