積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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高橋由太『紅き虚空の下で』

紅き虚空の下で (光文社文庫)紅き虚空の下で (光文社文庫)
高橋 由太

光文社 2014-07-10
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★★★★☆
レインボーロッドは知的生命体でナスカの地上絵くらいは描けるのです
オカルトマニアの少女が絞殺され、両手首を切り落とされた姿で発見された。奇想天外な設定とひねりの利いた展開、絶妙なユーモア感覚が光る表題作。人里離れた山奥に捨てられた少年を襲う、残酷で哀しい運命を描く「兵隊カラス」。一読、忘れがたい強烈な印象を残す全四編。


 ファンタジー系の時代小説作家として活躍する著者のデビュー前に発表された公募作をまとめた短編集。収録作は計4本、ミステリ作品が3本に非ミステリのホラー小説が1本という構成で、どの短編もダークで血生臭く、どこかオカルトめいた妖しげな雰囲気を漂わせている点で共通しています。
 設定の自由度もかなり高く、探偵役がスカイフィッシュ(作中ではメタルフィッシュ)だったり、蛙の皮を被った人々が生活する島が舞台になったりといわゆる“普通”を逸した、『ムー』的チープさと紙一重の独特な世界観の下で繰り広げられる謎解きは素人投稿ならではの発想ともいえ、少なからず“売れること”を意識しなくてはならない商業ベースの作品ではあまり見掛けないタイプかもしれません。

 収録作中ベストはなんといっても「蛙男島の蜥蜴女」。蛙の面を被って生活する秘密結社の儀式の最中に殺人が起こり、生贄として拘束されていた語り部が自分たちの身を守るために謎解きに駆り出される話なのですが、密室トリックの独創性のみに留まらず、読者の眼前に堂々と答えをぶら下げておきながら、まったくそれと気付かせないwhoの全容には感服しました。そこに至るまでに丁寧すぎるほどに撒かれた多量の伏線、何度も目にしていたハズなのにスルーしていた事実を改めて振り返ると、より一層に唸らされます。
 続く3篇目の「兵隊カラス」と比べると、読者の目を欺く手法がまったく真逆となっているのも興味深い。この「蛙男島の蜥蜴女」1本のためだけに、手に取る価値は充分にあるでしょう。

 超常現象・妖怪好きの自分としては、胡散臭さ全開のスカイフィッシュの記述がやっぱり並木伸一郎の著作を参考にしていたことや、「落頭民」のモチーフが中国妖怪の飛頭蛮だったことも地味に興奮ポイントでした。マニアックですみません。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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