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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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映画『X-MEN フューチャー&パスト』

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★★★★☆
2023年。史上最強のバイオメカニカル・ロボット“センチネル”によって、地球は壊滅へと向かっていた。この危機に、プロフェッサーXは宿敵マグニートーと手を組み、危機を根源から絶つため、時を越えた1973年にウルヴァリンの“魂”を送り込む。50年前の自分の肉体に宿り“センチネル・プログラム”の開発を阻止しようとするウルヴァリン。しかしその間も、2023年では暴走するセンチネルの攻撃によって、地球滅亡へのカウントダウンが進んでいた。 (2014年 アメリカ)


「X-MEN」第7作。
  実は観に行ったのに感想を書いていなかった映画その4。早いものでスピンオフ含めて7本目となる今作は、前作『ウルヴァリン:SAMURAI』のラストからさらに数年後、対ミュータントロボット・センチネルが暴走し、地球上のミュータントと彼らを手助けする人間たちを一斉に狩り出して久しくなった世界が冒頭から描かれます。そのあまりの終末的シチュエーションに、『~SAMURAI』からたった数年でここまで世界が荒廃してしまった事実にまず驚きます。

 センチネルの圧倒的火力の前には実力者のミュータントたちでさえまったくといって良いほど歯が立たず、プロフェッサーXとマグニートーも協力し合ってなんとか残り少なな仲間たちとレジスタンスを築いているという状況。そこでセンチネルを叩く手段として浮かんだのが、ウルヴァリンの意識を過去に飛ばしてセンチネル開発計画そのものを経ってしまおうというもので、これによって近未来が舞台の旧「X-MEN」三部作とそれに連なる『ZERO』と『~SMURAI』、過去編である『ファースト・ジェネレーション』の世代を超えた共演――どちらの物語とも地続きな2 in 1 の“正統続編”を見事にやってのけました。
 『スター・トレック(ST11)』もそうですが、タイムスリップを下敷きにこうしたウルトラCを決めてくれる作品は、SF好きには堪りません。

 過去パートのキャラクターはそのまま『ファースト・ジェネレーション』を継いでおり、JFK殺害容疑で政府に拘束されているエリック、信頼し合っていた友と足の機能を失い、学園の失敗からすっかり荒んでしまったチャールズ、独自に復讐に走るレイヴンの三人を主役にしつつ、ウルヴァリンが狂言廻しとして話を引っ張ります。かつては荒くれ者だったローガンが師として慕ったプロフェッサーXを、彼にして貰ったように導く様は、長年シリーズを追ってきた者にとっては感無量。あの弱々しげだったキティが立派な戦士に成長していたり、歳老いて自らの過ごした無益な時間を悟って後悔するマグニートーなど、未来パートも多分に見どころがあります。
 また、『ファースト・ジェネレーション』で神経を怪我したハズのプロフェッサーが旧作の回想シーンでなぜか歩いていた問題や、能力を失くしたミスティークをマグニートーがいとも簡単に切り捨てたことへの補強も見せてくれ、相変わらず過去作の描き足りなかった部分を補完することで観客の満足に繋げる試みが上手いなぁとも感心させられました。

 ラストには思わぬ展開が待っており、シリーズのエピローグとしてこれ以上に素晴らしいものは考えられないほど。だからこそ、ここで終わらずにまだまだ続編が作られる予定なのは、安易なリブートを掛けられた気分でちょっと複雑です。
 個人的には、単体のストーリーでは『ファースト・ジェネレーション』に軍配が上がりはするものの、エンタメ映画としては最高に楽しめるし、「X-MEN」ファンならば何を措いても観るべき名篇です。まあ、些かファン向けすぎて既存の作品の知識がないと面白味が半減してしまうのがネックといえばネックですけれど、シリーズ7作目からいきなり飛び込むというのもなかなか無茶な話なので、それについては言いっこなしということで。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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