2014.06/27 [Fri]
深沢美潮『女優のたまごは寝坊する。』
![]() | 女優のたまごは寝坊する。 (ハヤカワ文庫 JA フ 5-1) 深沢 美潮 肋兵器 早川書房 2014-01-10 売り上げランキング : 194852 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★☆☆☆
やっちまったーーーー女優をめざす新倉帆乃歌は大事な時に今日もお寝坊さん。ついに意を決し、静岡から上京して中目黒に移り、オーディションを受ける。『過去からきた人形』の台本を読む帆乃歌の隣で演技の助言をするのは、長い髪の美女・衣佐子――この映画のヒロインだ。帆乃歌には、役の人物を想像して具現化する特技があったのだ!そんな彼女が友人の俳優のたまごから「殺人犯にされるかも」と緊急連絡を受け……。
女優を目指して上京した少女が想像上の相方と共に、知人の無実を晴らすために奔走させられるライトミステリ。煽りの文句やあらすじではさも深刻げな雰囲気ですが、実際は単なる殴打事件。謎解き自体も状況を整理していけば自ずと答えが見えてくるような代物で、長編を引っ張るには些か魅力薄。日常の謎もの短編にあっても良いかな、というレベルがせいぜいです。
作者の本業が児童向けの物書きということもあり、文体は極めてライト。ある種、児童書のノリをそのまま引き摺っているよなところもあり、登場人物たちの考えの軽さ、主人公の精神年齢の幼さに関してはかなり好き嫌いが分かれそう。いくらキャラ付けとはいえ、せっかく呼んで貰えた大事な収録の日に平気で寝坊してしまうとか、本当にやる気があるのか?と思わなくもないわけですよ。
そうした部分をひっくるめて、あくまでもほんわか少女の青春日記(成長物語とは言わない)として読むのであれば、まあ許容範囲かと。ミステリ要素はおまけです。
スポンサーサイト
Comment
Comment_form