2014.06/24 [Tue]
映画『シャーロック・ホームズVSモンスター』
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★☆☆☆☆
1940年イギリス・ロンドン。アパートの一室で、老人がメイドに語りかけた。それは、死んだ友人の「最も偉大で世に知られていない功績」だという。老人の名はジョン・ワトソン。その物語とは――。1881年イギリス海峡で大金を積んだ船が、何者かによって沈められた。警察庁の依頼で調査に乗り出したのは、かの名探偵シャーロック・ホームズ。彼は友人のワトソンを連れ現地へと向かう。しかし人間業とは思えない事件の痕跡に、真相を突き止められないままロンドンへと戻る。そして、今度はニューヘブンで住民が怪物に襲われるという事件が発生。果たして一連の事件の裏に潜む謎とは!? (2009年 アメリカ)
数ヶ月間に地上波で放送していたものを今頃視聴。
言わずと知れた名探偵の代名詞、シャーロック・ホームズと相棒のワトスンがイギリスを賑わす怪物騒動の解決に乗り出すトンデモアクション映画です。ホームズ映画といえば、最近ではロバート・ダウニー・Jr主演の『シャーロック・ホームズ』が記憶に新しく、製作時期から考えても明らかに便乗臭がぷんぷんしますけれど、本作が意識しているのはむしろ『シャーロック・ホームズVSヴァンパイア』の方でしょう。こちらも随分とトンデモなタイトルではありますが、実はこの『~ヴァンパイア』、正真正銘のコナン・ドイル原案という正統派作品なのです。
言われてみればこうした怪奇色や奇想性は正典にも存分に見られますし、何よりオカルトに傾倒していったコナン・ドイルの晩年を思うと、驚くほどすんなりと納得できます。
それではこの『~モンスター』はどうだったかというと、これが全然ダメダメです。まずホームズを演じる俳優がひょろっこくて背も低く、おまけに日本語吹き替え版ではどう聞いたところでコメディリリーフボイスという、二重に敷かれたミスキャスト。ホームズがしきりに兄の話を引き合いに出しており、なかなか良いポイントを突いてくるなと感心していたら、その兄貴がまさかのマイクロフト・ホームズではないという罠。そもそも「ホームズ」ものをそれなりに齧っている人にとって、ホームズのお兄さんがマイクロフトとであることは基本知識なわけで。いきなり見ず知らずのキャラクターが“ホームズの兄”と登場してきて混乱しないわけがありません。この作品において“マイクロフト・ホームズ”なる人物の存在が完全に抹消されている事実に気付くまでに、相当の時間を要しました。
そんなことだから、ロンドンの街に恐竜が現れるくだりは同じくコナン・ドイル原作の『失われた世界』にインスパイアされた小憎い演出だというのも勿論考えすぎで、製作陣はホームズとワトスン、レストレード警部の名前だけ聞いたことがある程度にしか「ホームズ」を知らないのでは?という想いを強く抱かせます。
ホームズ好きな層が観るには堪えない話だし、その他のホームズに興味のない人々がこの内容で惹かれるかも甚だ疑問。これで原題『SHERLOCK HOLMES』はさすがにナメすぎ。いったいどの層に向けて製作されたのかがまったくわからない、まさに誰得な作品でした。駄作以上の何ものでもなし。
余談ながら、スチームパンクをやるならホームズよりも日本の明智探偵と二十面相の方が合っている気がします。
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