2014.06/01 [Sun]
ダン・ブラウン『インフェルノ(上)(下)』
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★★★★☆
目覚めたらフィレンツェだった。窓からヴェッキオ宮殿が見える。いったい、イタリアで何をしているんだ?当惑するハーヴァード大学宗教象徴学教授・ラングドンに、医師はシエナと名乗った。「ここはICU。あなたの頭の傷は、銃弾によるものです」。直後、病院に現れた暗殺者に襲われ、ほうほうの体で病院を逃げ出した二人だが、ラングドンのハリス・ツイードの上着のポケットには、見知らぬ金属製の円筒が。“生物学的有害物質(バイオハザード)”。指紋認証で開封すると、ボッティチェルリの“地獄の見取り図”が現れた。ダンテの“地獄篇”の影響を受け描かれた絵には、暗号が隠されているのか?追っ手を逃れヴェッキオ宮殿に向かった二人を次々と危機が襲う!
「ロバート・ラングドン」シリーズ 第4作。
2009年の『ロスト・シンボル』に続く久々の新作は、ダンテの『神曲』をテーマにしたサスペンス。美術と文学、歴史と宗教に秘された手掛かりを辿りつつ、ラングドンと居合わせた美女とが追跡者の魔の手を躱して裏を掻くストーリーはもはや定型です。本作でもラングドンは限られた時間の中で、イタリア・フィレンツェの街を舞台に自身の抜け落ちた記憶と襲撃者の正体、歴史の真実を探るために奔走します。
事件の黒幕が既に死亡している事実が神の視点で早い段階で語られ、追っ手側もその依頼を遂行するか否かで迷っていることもあって緊迫感もあまりなく、既に見たようなパターンでの逃走劇に序盤こそマンネリを感じさせないこともありません。しかし、事件のディテールがはっきりするにつれて第二ラウンドとでもいうべき状況に突入し、そこから人口過剰にまつわるSF色の濃いオチまで、小技を交えながらノンストップで突っ走る。
既刊の傾向からしてもおそらく次作で今回の事件に触れるような記述は登場しないだろうし、何もなかったかのように新たなストーリーが語られることになるのでしょうけど、それでも単発作品ならまだしも、これからも続いていくシリーズものの中でこれをやってしまうとは驚きました。
発売前から映画化が決まっているだけに、タイムリミットが迫る中、オーケストラの演奏をバックにラングドンたちが“爆弾”を捜索するいかにも映像栄えしそうな場面がさらっと挿入されているあたり、さすがに抜け目ないですね。
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