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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』

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★★★☆☆
地球の内側に、もう一つの世界が!? 調査へ向かった仮面ライダー鎧武=葛葉紘汰は、バダン帝国の怪人たちと、本郷猛と名乗る男と出会う。仮面ライダー1号に変身した本郷は怪人たちを次々と倒し、紘汰に言い放つ。 「お前のようなひよっこを、ライダーと認めるわけにはいかん!!」 困惑する紘汰。果たしてバダン帝国とは? そして動き始めた仮面ライダー1号ら昭和ライダーたちの目的とは? 一連の謎を追う仮面ライダーディケイド=門矢士は、平成ライダーたちの協力を得るため、彼らを訪ね歩く。 (2014年 日本)


「大戦」シリーズ 第4作。
 実は観に行ったのに感想を書いていなかった映画その2。「超・電王」以降定番となった春の「ライダー」映画の最新作です。
 春の「大戦」枠に地雷率が高いのは周知であり、かく言う自分もスルーする気満々だったのですが、仮面ライダー一号こと本郷猛を始めオリジナルキャストが大勢登場、プロデューサー・白倉伸一郎×監督・金田治×脚本・米村正二のプラチナ米トリアの布陣を崩し、柴崎監督が投入されたこともあり、期待はしないもののとりあえずは観てみることに。高確率で駄作だとわかっているのに、それでも特ヲタが見に行かざるを得ない状況を作ってしまう白倉マジック恐るべし! さすがは敏腕プロデューサー。
ーーで、まあ予想通りというか何というか。可もなく不可もなく、いつもの展開にいつもの流れ、いつもと同じ感想という……。もはやここまでがデフォですね。

 藤岡弘、は登場シーンこそ少なめですが、平成ライダー陣とは一線を画した貫禄は圧巻の極みです。もっぱらウルトラ派で昭和ライダーに殆ど親しみがない私でさえ、その格好良さに痺れるのだから、直撃世代には堪らないでしょう。
 加えて今作では現在放映中の「鎧武」のアーマードライダー勢は勿論、Xライダー=神敬介、ZX=村雨良、ファイズ=乾巧、ディケイド=門矢士、W=左翔太郎、ウィザード=操真晴人、キーパーソンとしてカイザ=草加雅人までもが参戦する超豪華キャスト。しかもそれぞれに見せ場が用意され、物語にしっかり噛んでくる。
 中でも闘いの中で命を落とした仲間を想い、変身を拒むたっくんが、寂れた港町でそれと知らずに出会った神敬介に導かれるくだりは本編の後日談としても競演作としても白眉であり、思わずこれだよ、これが見たかったんだよ!と叫んでしまいたくなるほど。
 何だかんだでお人好しな戒斗がマイペースな先輩ライダーたちに振り回され、終いには池にまで落とされるのには笑いました。
 そのぶん非オリキャス勢のオフレコは酷いですね。フォーゼやRXは違和感バリバリです。別にムリして喋らせなくても掛け声だけでなんとかなったでしょ……。

 それだけに種明かしからの失速具合が本当に惜しまれます。いったい「ライダー」映画で何度「わざと争う演技をしてたんだぜ!」をやれば気が済むのか、と。しかもそれが敵に見透かされている間抜けさも相俟って、良かった部分を全力で帳消しにしてくれます。
 これは米村が悪いというよりもむしろ東映の問題で、そりゃあ『オールライダー対大ショッカー』からこっち、何度も何度も似たような競演作を同じ人にか書かせていたら、バリエーションの底が尽きるのも当然です。アンチ米村な意見を抜きにしても、ここは脚本家を交替させて新たな発想を投入すべきだったでしょう。
 歴代ライダーを競演させるに当たって、ライダーバトルなしではストーリーを作れない思考回路も要反省です。観客が見たいのはヒーロー同士の殺し合いではなく、共闘なのです。どのライダーがどのライダーより強い!とか、そういうスペック議論はどうでも良いんです。春映画の製作陣はその点を大きく履き違えたまま来ている気がします。

 ストーリーの雑さも相変わらずでした。地下帝国バダンはなぜ誕生したのか? 死んだハズの者たちが蘇った理由は何なのか? 倒されたライダーがロックシードに姿を変えるのはどういったシステムなのか? BLACKとRXが同時に存在している理屈は? そうした疑問点が一切説明されていない。ディケイドがいるのに世界の壁も越えず、すべてが同一の世界の中で展開されている。せっかくの草加の新撮シーンが本編の描写と矛盾する(一連のシーンは巧の見た悪夢であり、イメージ映像だったと脳内補完)
 性質が悪いのは、これらの細かな齟齬が調整不足などではなく、恐らく意図的に行われているところです。つまり、『W』以降で各テレビシリーズが繋がっている理由付けは各人が好きに想像すれば良いし、テレビ本編との矛盾も「パラレルかもしれないしパラレルじゃないかもしれない。それを決めるのは視聴者自身です」というふうに、完全に見るもの任せにして責任を視聴者の側に押し付けてしまっている。製作側の安易な「逃げ」によって、説明不足が良しとされているのです。
 「ウルトラ」ではこのあたりをマルチバースなりギャラクシークライシスなりガチガチに設定しすぎて一見さんお断りになっている一方で、東映作品はこの緩さが作品に自由度を与え、ライトユーザー参入のためのハードルを下げているのは事実です。現に「ライダー」はそれで成功してるし、「ウルトラ」の凋落はご存じのとおりなわけで、一概にどちらが正しいとは言い難い。
 けれど、それでもスタッフとしてひとつの作品を世に送り出す以上、自分たちの作るものには相応の自信と責任を持って貰いたいし、片手間な処理で済ませてほしくはありません。ましてや、炎上覚悟ともいえる鎧武1号アームズやフィフティーンのいきすぎたデザインなど、悪ふざけにも程がある。東映は根本的にファンに対する誠意が欠けています。

 また、そうした緩さによって現在の東映特撮は仮面ライダー、スーパー戦隊、宇宙刑事、キカイダー、その他OV作品までもが地続きの出来事であるという一種マーベル・シネマティック・ユニバース並の世界観を築いているのですが、これも競演作品を濫発しすぎたツケとでもいうべきか。結果として「ライダー」映画にも関わらず、世界のピンチにスーパー戦隊が駆けつけないわけがないという論理も生まれてしまい、オリジナルキャスト大量投入でライダー同士の世代間抗争を描いた作品にキョウリュウジャーやトッキュウジャーまで出張ってくるカオス状態。ここは素直に仮面ライダーだけに焦点を絞った方が断然すっきりしたハズです。
 決してつまらないわけではないし、悪くはないんですけどねぇ。これだけの素材を揃えてこのレベルの調理しかできない某愛のエプロンみたいな映画でした。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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