2014.04/23 [Wed]
映画『プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち』
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マナたちのもとへ、妖精学校のグレルとエンエンが新しいプリキュアのめぐみとひめを探してやってくる。ところが、子どもたちが眠り続ける謎の事件が発生する。しかもそのなかにめぐみがいたため、ひめとマナたちは夢のなかに入っていく。そこには楽しそうに遊んでいためぐみや子どもたちがいたが、グレルたちの友達・夢の妖精ユメタとお母さんが現れ、めぐみたちプリキュアを夢から追い出す。夢の世界に閉じ込められた子どもたちを連れ戻すために、プリキュアたちが大集合する。 (2014年 日本)
「プリキュオールスターズNS」第3作。
「オールスターズ」シリーズ第6弾にして「NS」三部作の最終作となるこの作品。例年どおり放映中の『ハピネスチャージプリキュア!』と前年の『ドキドキ!プリキュア』のキャラクターをメインに、30人のプリキュアがスクリーン狭しと大活躍します。
そう、今回はテレビ本編では目下のところ動向不明のキュアフォーチュンを省き、キュアブラックからキュアハニーまでのプリキュアたちが登場するわけですが、よくよく数えてみるとこの段階では29人しかいないわけで。残る1人は誰かというと、それこそが本作最大のサプライズであり、この『永遠のともだち』が「NS」最終章である所以なのでした。
今作では「夢」と「母親の過保護」が大きなテーマとして扱われています。
「夢」といえば「プリキュア」作品を語る上では外せないお題目のひとつです。テレビシリーズの一年間、少女たちはときに楽しく、ときに辛い想いをしながらも仲間たちと共に前に進み、番組開始当初と比べるとひと回りもふた回りも大きくなった姿を見せてくれます。「夢」というのはそんな彼女たちが最終的に見つけ出した答えを如実に表したものであり、その成長を最も実感できる部分でもあるのです。
夢の妖精、ユメタの母親によって“夢を叶えた理想の世界”に閉じ込められた歴代プリキュアがその幻想をどう打ち砕くのか。その一点にテレビシリーズ本編の一年間が詰まっているといっても決して過言ではないでしょうか。
特にこのパートでクローズアップされているのぞみの言葉は印象的で、教師という夢はあるけれど自分はまだまだダメダメで、だからこそいまの自分が学校の先生をやれているなんて都合の良い状況はありえない。自分は夢を叶えるためにもっともっと努力しないといけないのだから、と笑顔で語り掛ける姿に『プリキュア5』ファンは感極まってしまうこと間違いなし。
周囲の仲間がみんな自分にはない夢を持っていて、それぞれ得意なものがあることに2年間思い悩んできたのぞみだからこそ、ようやく見つけた教師という目標がこれほどまでに重いのです。
マナも大きな印象を残していました。彼女の場合、秋の劇場版『マナ結婚!? 未来につなぐ希望のドレス』にて罠に落ち、大好きだったおばあちゃんと愛犬マロが生きていた時間に囚われて、仲間たちが敵の甘言を跳ね返す中でひとり最後まで理想の時間に執着してしまった過去があります。
それらの流れを把握していると、同じく“理想の世界”を前にしたマナの言葉ひとつひとつに、額面以上の想いを汲み取れるハズです。
隠し玉であるあゆみちゃん=キュアエコーの登場と、晴れて親友同士となったグレルとエンエンの再登場も「NS」の〆めとしてこれ以上のものはありません。
プリキュア本人たちではなく、“プリキュアが悩んでいる人たちの背中を押す”をコンセプトに作られてきた「NS」で、1作目、2作目で実質主人公を務めた彼らがプリキュアのピンチを救う展開だけでもお腹いっぱいなのに、それがフーちゃんを失って変身できなくなったエコーの元に、プリキュアの妖精になることが夢のグレルとエンエンが助けになってパートナーを組むというこの合致! 三部作が三部作である意味がここで活きてきます。
この展開によって「NS」シリーズは「DX」シリーズ以上に連続性の強い物語となり、テレビシリーズとはまた別のキュアエコーが主役のOVA的な立ち位置になったと思うんですね。いやー、よくぞここまで各パーツが嵌まったものです。
単純に1本の映画としてストーリーがあるだけでなく、過去のエピソードを下敷きに非常に丁寧に組まれているため、歴代作品を知っていれば知っているほどにその感じ方も大きく変わってくる。「プリキュア」10周年のメモリアルイヤーにこれほど相応しい作品もないでしょう。
エレンはあの隠居したおばあちゃんみたいな生活が理想で良いんだろうか……(T-T)
一方、愛する息子の平穏を保ってあげたいがために暴走し、結果その息子の意見すらも蔑ろにしてしまうマアムの過ちは、お父さんお母さんには考えさせられるテーマです。夢破れてしまった子供に対し、大人はどこまで手を出して良いのか。過保護に守ってあげることが、本当に子供たちのためになるのだろうか。
大人に対するメッセージ性の強い「プリキュア」映画といえば『フレッシュプリキュア! おもちゃの国は秘密がいっぱい!?』がこれまで筆頭でしたが、あちらがかつて子供だった大人に向けた作品だったのに対し、今作はいま親である大人に向いているという意味でもかなりの異色作であることは間違いないです。
「NS」の功罪でいうところの罪の部分として今回もCVのあるキャラ、ないキャラあるものの、歴代ピンクは総出演(EDは最高だぜ!)、バトルシーンも声ありキャラと声なしキャラを組ませて戦っているため前2作で見られた無言でびしばしということもなく、××の声を聴きたい!といった欲求を無視すれば、まったくもって不自然には感じませんでした。
こればっかりは予算の都合やら声優さんのスケジュール問題なりありますからねえ。いかにして声なし出演でもナチュラルに見られるかを追求した今回の形式は一定の成功を見たと思います。
わが愛するプリキュアTOP5のうちドリーム、マリン、エース、イーグレットは声ありでリズムのみ無声というのは悲しかったけど! リズム可愛いじゃん。怒りっぽいのもいとをかし。なんでよー。
世の中には一番お気に入りのプリキュアが声なしという悲劇を味わった人もいるだろうし、文句は言うまい。言うまいよ。
いやはや、またも長々と書いてしまいました。「プリキュア」の感想記事はこうも長くなるからなかなか書き出せないんですよね。本作もかれこれひと月近く前に観た作品ですし。
「NS」シリーズはこれで完結とのことですが、来年も勿論「オールスターズ」をやってくれるって私、信じてる!
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