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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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安萬純一『ボディ・メッセージ 被砥功児の事件簿』

ボディ・メッセージ (被砥功児の事件簿) (創元推理文庫)ボディ・メッセージ (被砥功児の事件簿) (創元推理文庫)
安萬 純一

東京創元社 2013-12-11
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★★★☆☆
探偵二人にある家で一晩泊まってほしいという、簡単だが奇妙な依頼。指示された家に向かったスタンリーとケンウッドに家人は何も説明せず、二人は酒を飲んで寝てしまう。未明に大きな物音で目覚めた二人が目にしたのは、凄惨な殺人現場だった。罠なのか? 警察を連れて現場に戻ると、死体が消失していた!?


「被砥功児の事件簿」第1作。
 第20回鮎川哲也賞受賞作。
 探偵事務所に舞い込んだ奇妙な依頼といかにも何か起こりそうなシチュエーション、インパクトある殺害現場がひとたび目を離した隙に消失してしまう奇想性。アメリカが舞台な物語らしくちょっと小洒落たやりとりに乗せて、冒頭からこれでもかと醸し出される怪しげな雰囲気に読者の期待も煽られっぱなし。新本格好きには堪らない空気感です。
 本作で大きな謎とされるのが、なぜ犯人はわざわざ殺害現場を目撃させておきながら、綺麗さっぱりその証拠を拭い去ったのかという点で、状況から考えて完全犯罪も充分可能であったのに、敢えて事件の発生を報せるような真似をした意図がひとつの矛盾として主人公たちの前に立ちはだかります。

 ミステリにおいて読者を納得させることは最重要事項です。しかし、そこからさらに満足感を与えるには魅力的な謎に対する予期せぬ解答――ある程度の非現実性、アクロバティックさが必要であり、そうした観点からするとこの作品で提出される答えはあまりにも合理的、現実的すぎて面白味に欠けています。わくわく感が完全に 謎>真相 となっていて、どうしても尻窄まりに思えるのです。
 もう一方の主題である死体切断の理由についてはそれなりに虚構性も高く、本格読者受けしそうなネタではあるけれど、こちらはこちらでヒントがちらつきすぎて容易に見抜けてしまうのが宜しくない。
 探偵役のキャラクターも薄く、“行方不明探偵”なる設定もあってないようなものに等しいし、これといって深刻な瑕疵があるわけではないものの、ミステリとしては些かパワー不足でした。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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