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積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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相棒 Season 8 第1話「カナリアの娘」

★★★☆☆
――優先順位ですよ。
どっちも手に入れたいけど、どっちかしか手に入らないのなら、優先順位の高い方を選ぶ。

右京がロンドンから帰国した。尊の車で送ってもらうことになった右京は途中、一台の車を止めて職務質問をしている白バイを振り返り、ふと疑問を口にする。「あの白バイは警視庁のようでした……」。つまり千葉県で警視庁の警察官が取り締まりをするはずがないという。右京と尊は車を止めると、後からやってきた白バイのナンバーをチェック。そのままパーキングエリアへ入っていく白バイを尾行するが、いくら捜しても見つからない。パーキングエリアから白バイが忽然と消えてしまったのだ。右京は「徹底的に調べますよ」と、帰国早々捜査に乗り出す。


 いよいよ始まりました、Season 8。
 今回のストーリーは今まで散々話題にされてきた左翼過激派組織“赤いカナリア”に関する話です。国外逃亡していた赤いカナリアの幹部が、娘を人質にとられ首都東京を向けたテロ行為へのを加担を強制される、といった内容。で、問題の幹部・本多篤人が旧友である小野田官房長に娘の護衛を依頼し、その仕事が特命係へ回ってきたという筋書き。
 真犯人とその動機はわりと推察しやすく、SPといえど全体的に小粒な印象でしたが面白かったです。まあ「バベルの塔」や「ノアの方舟」のようににいかにもSPです!みたいな無駄に舞台だけが大きい話でも仕方ないので、すっきり纏まっていたかな、と。
 Season 6や劇場版で見られたような日和ったあざといお涙頂戴劇もなりを潜めて、本格的にもとの『相棒』に戻そうとしてきているように感じました。

 捜査一課の3人も右京さんとの連携ばっちりで、会議でも骨のあるとこ見せてくれます。そうなんだよね、伊丹とか曲がったことは大キライだもんね。そのうち特命が本当に――国家を揺るがすような問題でピンチになったときでも、この3人は頼もしい助っ人になるだろうな。
 一方の神戸くん、二階級特退の男と右京さんはまだまだ打ち解けるのに時間が掛かりそう。大河内さんも神戸くんを怪しんでいるようだし、これから益々面白くなりそうね。というか、Season 7での大河内さんの心変わり(たぶん圧力)がストーリーに生きてくる前に、今Seasonはまた特命寄りになりそうな雰囲気だけど、どうなんでしょう?

 さて事件についても少々。
 冒頭、3億円事件を髣髴させるような描写がありましたが、あれは正直いらなかったかも。勿論、右京さんを事件にニアミスさせること、神戸くんの登場によるスタイリッシュ演出というメタ的な意義はあったのでしょうけど、あそこで犯人がわざわざ偽警官になる必要性は皆無でしょう。車を用意したのは真犯人側なんだし、その際にケータイや娘の写真も置いておけば良い。ましてやその直後にお互いが面会する予定になっているのだから、危険を冒してまでああいった行動に出る必要性が感じられないんですよね。ま、吾郎ちゃん@仮面ライダー龍騎はちょっと頭悪そう(失礼)な役柄というか、愉快犯的な雰囲気だったので、単にやってみたかったというだけなのかもしれませんが。

(以下、ネタバレ) 

 今回の動機――というか、娘の心境はなかなか興味深いです。あの家族はぱっと見、いかにも危険思想のように思えます。しかしながら、その“逆の立場”を考えてみれば充分に有り得るし、理解もできる話です。
 『スター・ウォーズ』を例にしてみましょう。
 EP3で銀河共和国が帝国へと名を変え、銀河は皇帝・パルパティーンの統治下に置かれることになりました。しかし、パルパティーンによる支配からなんとか脱却しようと、真の自由を勝ち取るために秘密裏に反乱活動を起こしていた者も多々います。オルデランの元老院議員・ベイル・オーガナもそのひとりです。いわずと知れたアナキンの娘・レイアの義父です。結果的に、彼の場合は後に銀河を解放することになる反乱同盟軍設立にも関わり、死後もその遺志は父を尊敬する娘のレイアによって引き継がれていくことになります。
 つまり、何が言いたいのかというとそういうことで、この場合はパルパティーンによる暗黒政治という明らかな“間違い”があったのは事実ですが、立場が逆の人間からしてみれば――パルパティーンの支配する世界を当然として生きているジュノ・エクリプスのような人間からしてみれば、ベイル・オーガナ=本多篤人、レイア・オーガナ=早瀬茉莉という図式も充分に成り立つわけです。
 そりゃあ、あのベイル・オーガナが「私のしたことは間違っていた。パルパティーンには逆らうべきじゃなかった」なんて言った日には、レイアなんかブチ切れですよ。

 勿論、本多篤人はテロリストであり、そこを銀河解放に恂じたオーガナ議員と比べるのはあまりにもなことかもしれませんが、一方でそういった見方もできるというのは物語として深いな、とか思うわけです。


しかし『スター・ウォーズ』と『相棒』を一緒くたに語るブログはここだけだろうな、絶対。

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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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