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映画『JAWS/ジョーズ』

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★★☆☆☆
それは、6月のある夜に始まった。小さな海水浴場アミティできりきざまれたような人間の肉体の断片が発見される。警察署長ブロディは事故報告書の死因欄に“鮫に襲われて死亡”と記し、海岸に遊泳禁止の立て札を立てることを決意したが、市長のボーンは海岸を閉鎖する事は街にとって大変な死活問題であると取り合わない。やがて第二の犠牲者が現れ、被害に遭った少年の母親は復讐のために3千ドルの賞金を出すという広告を掲載。開かれた市議会で海岸を閉鎖すべきか否かで激しいやりとりが交わされる中、漁師のクィントが1万ドル出すなら人喰いザメを殺してやろうという申し出る。 (1975年 アメリカ)


「ジョーズ」第1作。
 世の中には世間一般での評価の高さに反して、自分の中では明らかに過大評価だと感じる作品がいくつかあって、本作『ジョーズ』もそんな映画のうちのひとつです。
 『ジョーズ』といえばスティーヴン・スピルバーグの出世作であり、そのヒットをきっかけに有象無象問わず数多のモンスター映画を量産させることにもなった、もはや知らぬ者はいないといって良いくらいの超有名作。その登場が映画史に与えた影響は計り知れません。
――が、ですよ。この映画、本当にそんなに万人が諸手を挙げて称賛するほど面白いですか?
 確かにアニマトロニクスによるジョーズの存在感は圧倒的で、その巨体も相俟って映像のインパクトは絶大です。しかしながら、肝心のお話がつまらない。
 始終淡々と話が進み、自己中で自信過剰な登場人物たちが緊張感もなくぐだぐだと語らい、酒を呑む。この絡みが良いと言う人もいるのでしょうが、キャラクターの魅力も皆無なこの作品でそんなことをされてもただの中弛みにしか感じませんでした。

 そもそも本作の構造は サメ→人間 ではなく 人間→サメ であり、逃げるサメを倒すために男たちが海原へと船を出す。パワーバランス的に見れば人間の方がジョーズに勝っているのです。人々がジョーズに襲撃されるシーンもあるにはあれど、それによって右往左往される人々の様子を眺めるというよりも、ジョーズという巨大な“壁”を前にして価値観も生き方も異なる者たちが互いに認め合い、苦難を乗り越えて絆を結ぶ過程を描いた男たちのハンティング映画なのです。
 つまり、物語の導入として不可欠だったとはいえ、ジョーズの起こす騒動自体はそれほど重要なウェイトを占めているわけではないんですね。だから中盤、驚くほどにサメが出てこないし、それがまた退屈でもある。
 あくまでもドラマ部分が重視され、モンスター・パニックものとは似ているようでまったく違ったジャンルなのです。極論、これが巨大ザメでなかったところで、それはそれで作品が成り立ったでしょう。

 そんなわけで私は『ジョーズ』を「モンスター映画」「パニック映画」の金字塔とするのは間違っているし、またそうした観点からするとあまり面白い作品ではないと思います。同じような、巨匠の撮った古き良きモンスター・パニックならばジェームズ・キャメロンの『殺人魚フライングキラー』の方が断然楽しめました。
 スピルバーグ監督作の『ジュラシック・パーク』は紛れもない傑作ですが、こちらはちょっと異議を唱えたい。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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