2014.01/23 [Thu]
ジュード・ワトソン『スター・ウォーズ ジェダイ・クエスト(8) クーデターの真相』
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★★★☆☆
タイファ=ドアでの任務中、アナキン・スカイウォーカーは謎の医療処置を受けていた。《自我抑制ゾーン》と呼ばれるその処置は、群衆を鎮圧する目的により、相手に喜びと満足を感じさせることができるものだ。それを施した恐るべき女性科学者ジェナ・ザン・アーバーを追って、アナキンは師のオビ=ワン・ケノービ、シーリ、フェラスとともに、犯罪者の引き渡しを拒む惑星ローミンへと潜入する。詐欺集団に扮した四人はそこで、クーデターに巻きこまれてしまい──。
「ジェダイ・クエスト」第8作。
『エピソード7』関連の情報もぼちぼち出始め、世界中が再び「SW」に沸き立とうという今日この頃。そんなときだからこそ、「SW」後進国の日本でも新作公開に向けて盛り上げていきたい! これまで「SW」にあまり関心を抱いてこなかった層にも訴えていきたい、と暗黒の時代も微力ながら支えてきたいちファンとしては思うわけです。
アナキン・スカイウォーカーの修行生時代の活躍を描いた「ジェダイ・クエスト」もいよいよ佳境。前巻の感想を書いてから1年以上の間が空いていることなどお構いなしに、しれっと続きから読みました。これぞ、積読家の鑑よ(自画自賛)
アナキンに謎の精神統御措置を施した女科学者ジェナ・ザン・アーバーを追って、犯罪者たちが跋扈する惑星へと潜入するオビ=ワン-アナキン、シーリ-フェラスの両師弟。ジェダイとバレると不都合な隠密の活動なため詐欺グループへの変装を余儀なくされるのですが、オビ=ワンがセンスの悪い恰好を強要させられて真剣に嫌がったり、露出度の高い服装に抵抗するシーリを逆に仕返ししたり、とマスターふたりの仲が良すぎてニヤニヤしっ放しでした。
さすがは幼馴染み(?)というべきか、シーリが弱みを見せるとすかさずからかい始めるオビ=ワンが、好きな女の子にちょっかいを出したくてしょうがない小学生男子みたいで笑えて仕方ない。シーリはシーリで、そんなオビ=ワンに「次に笑ったら殺すわよ?」と睨みつけたりなんかして、もはや完全にラブコメと化してます。こりゃあサティーン公爵じゃ勝てないわ……。
「Jedi Apprentice」の邦訳化は勿論期待するところですけれど、『EP7』にはオビ=ワンの子供が出るなんて突拍子もない噂も囁かれているし、これを機にまかり間違ってサティーンとシーリがオビ=ワンを巡ってバトる小説とか発売されないかなぁ。読みたすぎる。
そんなコミカルな前半戦とは打って変わって、物語の後半は勢いづいたクーデターが加速度的に暴走し、血と暴力が惑星を支配する陰鬱な展開へ突入します。悪政を倒したつもりが、レジスタンスの求めるものもまた前政権とそう変わらず、一般市民は怯えるばかり。このあたりの容赦のないシリアス要素とダークさはジュード・ワトソンの持ち味ですねぇ。
決して、悪者倒して皆HAPPY!では終わらせない。登場人物たちは常に傷つき、悲しみと悔いを残して先へと進む。ジュニアノベルとは思えない重たさです。
また、前巻でオビ=ワンとアナキンの関係に一定の決着が為されたことで、今回はフェラスの心情にもスポットが当たっています。常に優等生でありながら、心から許し合える友達もいない孤独な存在。誰からも頼りにされる一方で、それ以上でもそれ以下でもない面白味のない人間――それが自分なのだ、と。堅物なイメージの強かったフェラスも、実は人並みに、いや人以上に大きな苦悩を抱えていたことがわかり、彼を見る目が少し変わりました。
それだけに、「ラスト・オブ・ジェダイ」でのオビ=ワンの驚きっぷりもよく理解できます。あのフェラス・オリンが無二の親友を得て、共に会社を立ち上げるまでに成長したという事実には嬉しくなります。
こうした、時間スケールにおけるキャラクターの変化を見届けられるのも、「SW」ユニバースの醍醐味のひとつといえるでしょう。
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