fc2ブログ

積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

ジュード・ワトソン『スター・ウォーズ ジェダイ・クエスト(8) クーデターの真相』

[ジェダイ・クエスト-8] クーデターの真相 (LUCAS BOOKS)[ジェダイ・クエスト-8] クーデターの真相 (LUCAS BOOKS)
ジュード・ワトソン 西村和子

オークラ出版 2008-06-27
売り上げランキング : 42589

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★☆☆
タイファ=ドアでの任務中、アナキン・スカイウォーカーは謎の医療処置を受けていた。《自我抑制ゾーン》と呼ばれるその処置は、群衆を鎮圧する目的により、相手に喜びと満足を感じさせることができるものだ。それを施した恐るべき女性科学者ジェナ・ザン・アーバーを追って、アナキンは師のオビ=ワン・ケノービ、シーリ、フェラスとともに、犯罪者の引き渡しを拒む惑星ローミンへと潜入する。詐欺集団に扮した四人はそこで、クーデターに巻きこまれてしまい──。


「ジェダイ・クエスト」第8作。
 『エピソード7』関連の情報もぼちぼち出始め、世界中が再び「SW」に沸き立とうという今日この頃。そんなときだからこそ、「SW」後進国の日本でも新作公開に向けて盛り上げていきたい! これまで「SW」にあまり関心を抱いてこなかった層にも訴えていきたい、と暗黒の時代も微力ながら支えてきたいちファンとしては思うわけです。
 アナキン・スカイウォーカーの修行生時代の活躍を描いた「ジェダイ・クエスト」もいよいよ佳境。前巻の感想を書いてから1年以上の間が空いていることなどお構いなしに、しれっと続きから読みました。これぞ、積読家の鑑よ(自画自賛)

 アナキンに謎の精神統御措置を施した女科学者ジェナ・ザン・アーバーを追って、犯罪者たちが跋扈する惑星へと潜入するオビ=ワン-アナキン、シーリ-フェラスの両師弟。ジェダイとバレると不都合な隠密の活動なため詐欺グループへの変装を余儀なくされるのですが、オビ=ワンがセンスの悪い恰好を強要させられて真剣に嫌がったり、露出度の高い服装に抵抗するシーリを逆に仕返ししたり、とマスターふたりの仲が良すぎてニヤニヤしっ放しでした。
 さすがは幼馴染み(?)というべきか、シーリが弱みを見せるとすかさずからかい始めるオビ=ワンが、好きな女の子にちょっかいを出したくてしょうがない小学生男子みたいで笑えて仕方ない。シーリはシーリで、そんなオビ=ワンに「次に笑ったら殺すわよ?」と睨みつけたりなんかして、もはや完全にラブコメと化してます。こりゃあサティーン公爵じゃ勝てないわ……。
 「Jedi Apprentice」の邦訳化は勿論期待するところですけれど、『EP7』にはオビ=ワンの子供が出るなんて突拍子もない噂も囁かれているし、これを機にまかり間違ってサティーンとシーリがオビ=ワンを巡ってバトる小説とか発売されないかなぁ。読みたすぎる。

 そんなコミカルな前半戦とは打って変わって、物語の後半は勢いづいたクーデターが加速度的に暴走し、血と暴力が惑星を支配する陰鬱な展開へ突入します。悪政を倒したつもりが、レジスタンスの求めるものもまた前政権とそう変わらず、一般市民は怯えるばかり。このあたりの容赦のないシリアス要素とダークさはジュード・ワトソンの持ち味ですねぇ。
 決して、悪者倒して皆HAPPY!では終わらせない。登場人物たちは常に傷つき、悲しみと悔いを残して先へと進む。ジュニアノベルとは思えない重たさです。

 また、前巻でオビ=ワンとアナキンの関係に一定の決着が為されたことで、今回はフェラスの心情にもスポットが当たっています。常に優等生でありながら、心から許し合える友達もいない孤独な存在。誰からも頼りにされる一方で、それ以上でもそれ以下でもない面白味のない人間――それが自分なのだ、と。堅物なイメージの強かったフェラスも、実は人並みに、いや人以上に大きな苦悩を抱えていたことがわかり、彼を見る目が少し変わりました。
 それだけに、「ラスト・オブ・ジェダイ」でのオビ=ワンの驚きっぷりもよく理解できます。あのフェラス・オリンが無二の親友を得て、共に会社を立ち上げるまでに成長したという事実には嬉しくなります。
 こうした、時間スケールにおけるキャラクターの変化を見届けられるのも、「SW」ユニバースの醍醐味のひとつといえるでしょう。


スポンサーサイト



Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

08 | 2023/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析