2014.01/22 [Wed]
相棒 Season 12 第13話「右京さんの友達」
★★★★★
1シーズンにつき1度はある実験回。依頼人のアドバイスに乗っかって右京さんが小説を執筆、それを読み上げる形で随所にモノローグが挟まれる珍しい趣向のエピソードです。
語り部による事件語りがいかにもミステリ小説ちっくであり、それだけでもテンションの上がるところですが、それ以上にファンとして嬉しいのは右京さんの目線で、右京さんの心情を覗き見られる点にあるでしょう。帰りがてらに馴染みの紅茶専門店に足を運んだり、基本的に私生活が謎に包まれた右京さんのプライベートが描写されているのも新鮮です。
懐かしの刃桜の会を思い出させる要素が散りばめられていたり、右京さんが薫ちゃんのことを未だに「相棒」と呼んでいるなど、いまだに続く絆の強さも実感させらます。ここで安直に薫ちゃんの名前を出さない焦らしっぷりがまた小憎いです。
右京さんと趣味のレベルまでそっくりな「運命」の人がゲストということで、こういうパターンは大抵アリバイ崩しになってしまうため、半ば覚悟していた無慈悲な結末が回避されたのも良かったです。
紅茶とイヌしか心を許せるものがなかった男がひとりの女性に惹かれ、彼女の犯した罪を肩代わりしようと申し出る筋立ては、ある意味では『容疑者Xの献身』の別解答であり、しかし押し付けがましいこともなく。どうあっても報われることのなかった彼の恋が、自殺幇助の罪はあるにせよ、最後の最後で彼女をその腕の中に抱きしめる形となった美しさ。孤独な男が見つけた友人という救い。そして、紅茶とアンティークに彩られた暖かな色味をもった映像。ミステリ作家の烏森の作家としての矜持。サブタイトルの「右京さんの友達」に込められた感情。冬の寒い日に心がほっと温まり、じんわりと染み入るようなストーリーでした。
これで今回が『相棒』初参加の脚本家だと言うから驚きです。真野さんにはこれからの『相棒』を担っていく主戦力として、ばしばしと書いて頂きたい。
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