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映画『仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦』

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★★★★☆
謎のファントム・オーガが出現した。オーガは、ファントムを食らい、その能力を自分のものにすることができるという怖ろしい存在だ。最強のファントムとなることを目指すオーガが狙うのは、仮面ライダーウィザード=操真晴人の中にいるドラゴン。晴人を絶望させるため、オーガは晴人が持つ、コヨミが残した「ホープ」の指輪を奪ってしまう。一方、沢芽市ではアーマードライダーによる「戦極バトルロワイヤル」が開催されていた。鎧武、バロン、龍玄、黒影、グリドンらが戦いを開始する中、発生した時空の亀裂から謎の怪人が出現。舞を捕まえようとした怪人を追って、今度は紘汰らは別の世界に迷い込む。(2013年 日本)


「MOVIE大戦」シリーズ 第5作。
 今年の元日に観に行ったものを、いまさらながら。
 『ディケイド 完結編』以降お馴染みとなった新旧ライダーの共演作、「MOVIE大戦」も5作目です。昨年に引き続き今年も劇場での鑑賞はスルーしようかと思っていたのですが、現在放送中の『鎧武』がかなり面白く、本作の『ウィザード』編の評判もなかなか良かったため、『ゼロ・グラビティ』のついでに観てくることにしました。

 人々の希望を守る『ウィザード』の後日談と、目下若者たちの縄張り争いが進行中の『鎧武』。例年にも増してカラーの異なる両作品でありながら、その組み合わせ方はなかなかのもの。コヨミの死という悲劇を乗り越え、先輩としての風格を漂わせる晴人がまだまだ「仮面ライダー」として未熟な紘汰を導いてみせる最終決戦は、新旧ライダーのバトンタッチという意味では『プリキュアオールスターズ』の構造に近く、これまでのどの「MOVIE大戦」よりも共演ものとしての意義を感じられました。

 『ウィザード』編はテレビシリーズでコヨミを失った晴人がその事実と向き合い、如何にして受け入れるのかが焦点のストーリー。テレビ本編では、晴人はコヨミの遺したホープの指輪を眠らせる旅に出るところで終わりましたが、それは本当にコヨミの為なのか、本当は晴人自身がコヨミの存在を手放せず、ただただ先延ばしにしているだけではないのか、という疑問を真っ正面から突きつけ、テーマにしてきたのには驚きました。
 「平成ライダー」は主にバトルやサスペンスで魅せる「動」のライダーと、キャラクターの心情変化や細やかな機微を中心に据える「静」のライダーに大別できるのですが、『ウィザード』の場合は特に後者の傾向が強いので、こうした点を逃げずに描いてくれるのは嬉しいですね。アンダーワールドや魔法使いの弟子といった『ウィザード』ならではのガジェットを巧みに絡めつつ、コヨミとの想い出の風景をバックに行われるオーガとの対決は、とても綺麗で切なくて、そしてまた感動的でもある最上の演出でした。
 さすがは香村脚本。振り返ってみると、『ウィザード』の作風は香村さんなくして成立しなかったと思います。
 再びキマイラを捕まえた仁藤も相変わらず晴人のできない部分を支えてくれる良い相方してますが、それより何より、メイジ三人衆として登場した真由ちゃんが段々とミサちゃん化していっているのには笑いました。

 一方の『鎧武』編は戦極時代と呼ばれる時代考証も何のその、スキヤキ・ウエスタンな時代劇が繰り広げられるパラレルワールドを舞台にした番外編。
 『W』から照井竜と所長、『キバ』から名護さん、『オーズ』の伊達さん、前作『フォーゼ』からは賢吾のそっくりさんが参画し、武神ライダーと呼ばれる仮面ライダーたちを旗印に、天下取りの為の領土争いの戦が延々続いているという設定です。
 『ディケイド』以降、良くも悪くも過去ライダーの登場を惜しまなくなり、リスペクトの欠片もなければ、本人かどうかさえわからないガワだけライダーが大量に登場し、何かといってはライダーバトルに突入する風潮にはあまり好きではないものの、今回の場合は戦極世界と通常世界、ふたつの世界に同じライダーが存在すること自体に作劇上の意味合いを持たせているため、個人的にはアリですね。
 悪ぶっているわりに情に絆されやすい戒斗や、目の前の現実と理想の狭間で大きく揺れる紘汰など、テレビのキャラクターをそのまま持ってきて掘り下げている点も興味深い。弱い弱い、とそのビッグマウスをネタにされがちな戒斗ですけれど、家族と幸せに暮らしていた過去を大切な思い出として胸に秘め、それ故に搾取されない立場=強さを目指す戒斗の姿勢は案外嫌いじゃありません。

 また、本作では武神鎧武の出自は結局明かされず終いでしたが、舞のことを運命の巫女と呼び(オープニングのダンス衣装からのミスリードを含む)、謎の御神木を介して武神ライダーたちと力を蓄えようとするその計画は、今年になってテレビシーリーズの方で舞の出自が明かされていくと同時に、思った以上に『鎧武』の根幹に関わる設定のようにも感じられます。
 鷹司神社のひとり娘である舞、そしてかつて沢芽市のシンボルでもあった神社の御神木、ユグドラシルという社名、ユグドラシル内に安置されている恒常的なクラックを擁する巨大な樹――。これらの要素と武神鎧武の存在が、今後の『鎧武』の物語におけるひとつの布石になっているのではないでしょうか。
 そうした観点から捉えてみると、これまで放送中の「ライダー」に関しては番外編に徹してきた「MOVIE大戦」にあって、本作が非常に特殊な立ち位置にある作品であることがわかります。

 レジェンドライダーアームズのダサさについては深くは語るまい。それぞれがモチーフとなったライダーの決めゼリフを言う中で、貴虎兄さんとフォーゼというどう考えても鬼門な組み合わせをああいった形で処理したのには感心しました。
 劇中、貴虎がミッチとニアミスしている場面がいくつかあり、龍玄の正体を知らないままの本編との間に齟齬を来しているように見えるとはいえ、斬月がミッチの変身に居合わせたシーンも完全に振り返っているわけではないこと(あの角度の首の動かし方では背後までは確認できない)、鎧武チームが走り去るのを見届けつつも、弟があんな奴らとつるんでいるとは1ミリたりとも考えていないだろう先入観も勘案すると、苦しいなりにもそれなりに納得できるレベルで整合性は保たれていたかと。
 現状、アクション重視のエンタメ作では『MEGA MAX』、ドラマの面白さでは本作『MOVIE大合戦』が年末の「MOVIE」大戦シリーズでは二強ですね。

 次の劇場版は春の『平成ライダーVS昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』。春の大集合映画は基本的に駄作なので当然無視を決め込むつもりだったのに、藤岡弘、の「平成ライダーだと? 甘ったれるな!」の台詞がカッコ良すぎてスルーできない……!
 しかし、これ。ここまでやってスーパー戦隊を出す必要性あるの? むしろ蛇足じゃないかしら。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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