2014.01/17 [Fri]
映画『スター・ウォーズ ホリデー・スペシャル』

★★☆☆☆
Stir, whip, stir, whip, beat, beat, stir!
ウーキーたちの故郷・キャッシークが「生命の日(ライフ・デイ)」を迎え、チューバッカは家族と再会するため、ハンと共にミレニアム・ファルコンでわが家を目指していた。そこへ、運悪く帝国の宇宙船と遭遇してしまう。一方、キャッシークのチューイーの家では、妻のマーラトバック、息子のランパワランプ、父親であるアテチトカックが「生命の日」の準備に大忙し。なかなか到着しないチューバッカの身を案じたマーラは、反乱軍の基地にいるルークやレイアと通信するが、キャッシークは既に帝国軍に包囲され、士官とストームトルーパーの捜索が迫っていた。(1978年 アメリカ)
原題『THE STAR WARS HOLIDAY SPECIAL』。冒頭に“EPISODE Ⅳ1/2”とナンバリングされているとおり、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』が大成功を収め、『エピソード5/帝国の逆襲』の公開が控えていた時期に製作されたテレビ映画です。
本作はあまりの出来の悪さからルーカスが封印したいわゆる黒歴史であり、放送されたのも初公開時の1回のみ。その後、ソフト化はおろか再放送すら為されていないという、「SW」ファンにとっては伝説にも等しい番組です。かくいう私も、小学生の頃に『エピソード1』を観て以来、すっかり「SW」の世界に魅了され、スピンオフ小説に手を出したりする中で、たまたま図書館で読んだ大型本にこの『ホリデー・スペシャル』の写真が掲載されていて、子供ながらにレンタルビデオはおろか殆ど触れられることがないその事実を不思議に思っていたものです。
そんなわけで現在では当時の録画ビデオを漁る他には本作を視聴する手段はないのですが、
ファンとして何より注目したいのは『エピソード3』に先駆けてのキャッシークの映像化、そしてチューイーの家族の登場でしょう。実際、本作はマーク・ハミルやハリソン・フォード、キャリー・フィッシャーもそれぞれルーク、ハン、レイアとして登場するものの、実質的な主役はこのウーキー一家であり、チューイーの帰りを待つマーラトバックたちによるホームドラマがメインです。
これがまあ、封印されても致し方なしと納得できなくもない代物で、海外ドラマのシットコムのような展開でマーラトバックがエプロン姿(!)でお料理番組を観ながら調理したり、ランパワランプが宇宙船の模型を片手に走り回ったり、その昔NHK教育でやっていた『恐竜家族』や『フルハウス』を観させられているような、壮絶なるコレジャナイ感が漂っています。
おまけに彼らはウーキーなので、本編の大半が勿論シリウーク語。英語字幕すらないぶっ飛び具合は、当時の全米視聴者を全力で置いてきばりにさせたことを想像するに難くありません。
とはいえ、彼らの挙動と唸り声でどんなことを喋っているのかはだいたい汲み取れますし、英語が少ないぶん結果的に日本人の視聴者には優しい仕様と言えないこともないですが……。
特徴的なのは劇中劇が多用されている点で、上述のお料理番組を始め、ランピーの貰った通信機の説明ビデオ、タトゥイーンの暮らしについて語った謎ドラマ、アテチトカックの妄想装置の女性シンガー、果てはボバ・フェット初登場となるアニメパートまで、とにかく挿話が多く、そのひとつひとつが逐一長ったらしい。「SW」とは思えない安っぽさも当然あるのだろうけれど、それ以上にこの劇中劇による中弛みこそが、『ホリデー・スペシャル』がつまらないと言われている最大の要因でしょう。
しかも、OPクレジットのテンションやしきりに「WATCH PRINCESS LEIA SING!!」を強調する煽りといい、『スター・ウォーズ』でここまで色んなことやっちゃうんだぜ~? 有名なスターも呼んじゃうぜ~? という製作スタッフのいかにもなドヤ顔が透けて見えるようで、後の時代のわれわれの立場からしてみれば苦笑い必定です。
ボバも声が渋くてカッコ良いんですけどねえ。なんでいきなりアニメなの? 予算の関係なの?と思わざるを得ないわけですよ……。
多少ダレる部分はあるし、決してスペースオペラ的な壮大さを期待してはいけないしょぼめの作品ではあるものの、マーラトバックとチューイーの結婚が描かれた「ハン・ソロ三部作」の『反乱の夜明け』を前知識で読んでおくと感慨深いところもあって、ファン向けのスピンオフとしてなら存外楽しめる作品かもしれません。
評判で聞いていたよりは面白かったです。
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