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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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ウルトラマンギンガ 第10話「闇と光」


 クライマックス二部作のうちの前編。ナックル星人グレイによって心の闇に付け込まれた美鈴はスーパーグランドキングと化し、学校への進撃を開始する。ギンガとジャンナインがそれを迎えるも、人質をとられた状態なので積極的に攻撃できず。ヒカルたち2人を巨体で圧倒するグランドキングを見ていることしかできない健太たち、さらに校内では闇の支配者による悪質な破壊行為が繰り広げられており――。

 というわけで、ギンガによって美鈴の精神世界に送り込まれたヒカル、グランドキングに応戦する健太らSDウルトラマンたちとジャンナイン、ホツマと校長先生による正体暴きパートの三視点が同時に進行した今回のお話。何よりもまずその見どころは、スーパーグランドキングと小学校をひとつの画面に収めた実景合成ですよね。
 もともと『ギンガ』は実景合成を用いて撮影される予定だったそうなのですが、予算と時間の関係からやむなく断念。結果として、学校近くで暴れつつも戦闘パートは裏山に移動するという若干井上ワープ気味な処理が為されていました。
 しかし今回、合成によって健太たちのいる校舎とグランドキンがひとつの画面に収められたことで、映像面での説得力が一段とアップして、より緊迫感のある画作りに繋がっていたと思います。
 ミニチュアの配置にも気が配られ、『ゼロファイト』や『キラー・ザ・ビートスター』を始めとしたアベ監督作品にありがちだった「俯瞰で見た図と主観で見た図とでは到底同じ場所で闘っているようには思えない問題」(長いっ)も絶妙に解消されており、特撮パートは満足です。

ドラマ面ではヒカルと美鈴の関係がキーとなってきます。前回、グレイによって父親がヒカルを苦しめていたことを指摘された美鈴が闇の力に取り込まれるわけですが、この精神世界(アンダーワールド?)でヒカルと美鈴は本音をぶつけ合うことになります。
 父親を許せないのと同様、ヒカルのことも大嫌い。勝手に転校して勝手にギンガになって、自分のことなんかまるで意識してくれないふうで単なる「幼馴染み」としか見えていてくれない。美鈴の主張はそれこそ自分勝手で、確かにわがままで、視聴者からしてみればそんなわけないじゃんと一笑に付したくもなるような、極端にネガティブな意見ではあります。
 けれど、思春期の女の子にとって好きな男の子の気持ちがどちらを向いているのかは、それこそ世界の危機に匹敵するような一大事であり、ときには必要以上に疑心暗鬼になったり面倒くさいことを言いだしたりもする。ヒロインが自分の恋愛にかまけてちょっと周りが見えなくなってしまい、自分の意見さえもしっちゃかめっちゃかになって収拾がつかなくなる様は、正しく少女漫画の主人公です。
 本当ならば、こんな強敵を前にしてやんややんやと口喧嘩を繰り広げている場合ではないかもしれません。しかし、世界の危機と同じくらいの比重でそれをやってしまうのが、若者の特権であり、らしさだとも思うのです。
 それこそが、主人公が防衛チームに所属せず、ましてや大人でもない多感な年頃の高校生だからこそできる「ウルトラマン」の新しい切り口――『ウルトラマンギンガ』の最大のカラーであるとさえ感じます。
 吹っ切れた後のヒカルと美鈴のダブルライブといい、青春もの好きには堪らない一篇でした。

 これまでに怪獣化させられた人間がすべて降星小学校の卒業生だったという事実も明かされ、第3話でキングパンドンと化した女性がヒカルたちの先輩であったことにルギエルの正体に迫るヒントがきちんと隠されているなど、情報の見せ方と伏線回収の仕方も上手いです。白井校長とホツマの鬼気迫る邪気払いも見どころで、特にルギエルに憑依された校長の所業は軽く戦慄もののホラー演出です。
 残る謎はホツマの紋章とギンガとルギエルの関係のみ。次回はいよいよ最終回、どんなフィナーレが待っているのか、いまから楽しみにしています。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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