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伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(12)』

俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12) (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない (12) (電撃文庫)
伏見 つかさ かんざきひろ

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★★★☆☆
『―人生相談があるの』あれから色々なことがあった。隠していたエロゲーが見つかって、バカにされるかもって怯えたこと。昔の兄貴の面影に、思わず人生相談を切り出したこと。アイツは親身になって、大嫌いなあたしのために、オタク友達を作ろうとしてくれたっけ。オフ会で孤立したときも、親友と絶交しちゃったときも、留学先で落ち込んでいたときも、お父さんにエロゲーを捨てられそうになったときもそう。あいつはいつだって一生懸命、あたしを護ってくれていた。だから、今さら『なんで』なんて聞かないでよね。人生相談から始まった、どこにでもいる兄妹の、ほんのちょっぴり特別な、物語。ずっと隠し続けてきたあたしの秘密を、いま、明かそうと思う。


「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」最終作。
 年末のミステリランキングに向けてレビューも読書も絶賛追い込み中ですが、ここらで少し関係のないものを。
 長らく続いた『俺妹』もとうとう最終巻。前々巻ラストでのあやせの告白、前巻では遂に桐乃と京介が冷戦状態に陥った理由が明かされ、さて京介は誰を選ぶの?というところで終わっていました。
 そこで迎えた最終巻はかなり予想外であり、また悪い方向に裏切ってきたとしか言いようがない。前巻で桐乃との間にあったわだかまりも溶け、ヒロイン同士が互いに宣戦布告するなど、物語としてはクライマックス状態でもはや何をやっても盛り上がるという状態から、よくもまあここまですべてをぶち壊してくれたなぁと思うほどにわけのわからない展開に突入したことに、もはや驚きというより唖然という気持ちの方が近いかもしれません。

 個人的な好みを申せば私は加奈子推しだし(生意気だけどしおらしいロリっ娘は最高だぜ!)、たぶんルート的には麻奈実が本命なんだと信じていたし、たとえ京介が桐乃を選んだとしても、それは「妹である桐乃が何よりも大切だから、いまはまだ彼女を作らない」という意味での判断保留という名の答えになると思っていました。勿論、他の誰とくっついたところで異論はなかったと思います。
 しかし、今巻で京介の下した決断はちょっと意味がわからない。ここまでの過程で、京介が桐乃のことを女の子として好きだと意識しているような描写が一度たりともあったでしょうか? 他の娘たちならばともかく、京介が桐乃に対して抱いてきた想いはあくまでも兄として目線であり、一般に禁断とされる一線を踏み越えるほどまでに強い恋愛感情がそこにあったとはどうあっても読み取れないんですね。

 桐乃の方はというと、確かに小学生時代の回想でそうした描写があるにはあるものの、そこで間違った道に進まないように麻奈実が釘を刺しています それなのに、一度排除した可能性を敢えて蒸し返してまで京介と桐乃を恋愛関係に持っていこうとした作者の意図がわからない。
 そもそも『俺妹』という作品の原点に立ち返ってみると、1巻のラストでもデレない鋼鉄の妹に対してこぼした京介の「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は、あくまでも家族愛、兄妹愛の視点だったハズです。恥ずかしげもなく言ってしまうと、兄貴にはどんな悪辣な妹だって理屈抜きに許せてしまう部分があるのです。そんなストーリーだったからこそ、私自身も惹かれたわけで。
 コンテンツが大きくなり、物語が長大になっていくにつれて、『俺妹』という作品のコンセプトがどうしても原点からブレてしまったようにしか感じられない決着点には些かの肩すかしと共に、初めてライトノベルを全巻追って読んできた身としても残念でならない思いでいっぱいです。

 まずは伏見さん、長らくお疲れ様でした――と言いたいところではありますが、これで既に発表済みらしい(敢えて情報は入れていない)DVD特典小説で京介がメインキャラの誰かと結婚しているなんてことがあろうものなら、さすがにそれは「逃げ」以外の何ものでもないと言いますか。物語の畳み方としてはかなりお行儀が悪いです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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