積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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小林泰三『アリス殺し』

アリス殺し (創元クライム・クラブ)アリス殺し (創元クライム・クラブ)
小林 泰三

東京創元社 2013-09-20
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★★★☆☆
大学院生・栗栖川亜理は、最近不思議の国に迷い込んだアリスの夢ばかり見ている。ハンプティ・ダンプティの墜落死に遭遇する夢を見た後大学に行ってみると、キャンパスの屋上から玉子という綽名の博士研究員が墜落死を遂げていた。次に亜理が見た夢の中で、今度はグリフォンが生牡蠣を喉に詰まらせて窒息死すると、現実でも牡蠣を食べた教授が急死する。夢の世界の死と現実の死は繋がっているらしい。不思議の国では、三月莵と頭のおかしい帽子屋が犯人捜しに乗り出していたが、思わぬ展開からアリスは最重要容疑者にされてしまう。もしアリスが死刑になったら、現実世界ではどうなってしまう? 彼女と同じ夢を見ているとわかった同学年の井森とともに、亜理は事件を調べ始めるが……。


 ルイス・キャロルによる『鏡の国のアリス』と『不思議の国のアリス』を下敷きとした特殊設定ミステリ。
 アリスとその仲間たちが暮らす夢の世界の不思議の国で起きる連続殺人と連動して、現実世界の地球でもアバターとなって夢を見ていた人間たちが死んでゆくという映画版『リアル鬼ごっこ』的展開の下、不思議の国で殺人容疑を掛けられたアリスの無実を証明するため、現実と夢とのふたつのラインで事件調査が行われます。
 栗栖川亜理とはこれまたいかにもなネーミングで。その昔『永久アリス輪舞曲』なるアニメを観ていた自分としては、そこは有栖川ありす(!)じゃないんだ、とどうでも良すぎるツッコミが頭から離れませんでした。

 自分が犯人ではないと主張するアリスに対し、彼女が庭から去っていくところに居合わせたと述べる白兎の証言との矛盾点を解消する手段はさすがの特殊設定ミステリで、夢の世界というファンタジーな舞台設定が存分に謎解きに活かされています。この部分だけでもミステリ的には一読ものの出来栄えなのですが、困ったことに本作は非常に評価の難しい作品です。
 というのも本作では、作品の性質からして絶対にやるであろう仕掛けが案の定施されており、それがすべての中核を担ってしまっているという大きな問題があります。確かに、この手のネタにありがちなサプライズのためのサプライズには収まっておらず、きちんと作中における必然性も敷かれているにはいるのです。けれど、核となるギミックが設定段階で易々と看破できてしまうのは、ミステリ的にはマイナスでしょう。せっかく趣向そのものがフーダニットに寄与していても、メタレベルで仕掛けが見え透いてしまっては何の意味もありません。
 下手に流行りの手法に靡くことなく、素直にファンタジー論理に基づいたミステリに徹していれば、より面白くできたと思います。それだけの地力がある作品であることには間違いないです。


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プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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