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梓崎優『リバーサイド・チルドレン』

リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)
梓崎 優

東京創元社 2013-09-11
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★★★★☆
おいおい、何の冗談だ?
人殺しってのは、人を殺すことを言うんだ。
ここに転がっているのは、野良犬の、いや虫けらの死骸じゃないか

カンボジアの地を彷徨う日本人少年は、現地のストリートチルドレンに拾われた。「迷惑はな、かけるものなんだよ」過酷な環境下でも、そこには仲間がいて、笑いがあり、信頼があった。しかし、あまりにもささやかな安息は、ある朝突然破られる―。彼らを襲う、動機不明の連続殺人。少年が苦難の果てに辿り着いた、胸を抉る真相とは?


 梓崎優の3年ぶりの新作にしてデビュー第2作となる本作は、カンボジアに暮らすストリートチルドレンを題材にした長編ミステリです。
 遠い異国の地との間にある文化や慣習、価値観の違いをホワイダニットのサプライズに仕立てる独自の作風は健在で、ある事情から、カンボジアにてストリートチルドレンに身を落とすことになった日本人少年と仲間たちとの日常を丹念に描写し、それを壊すことになる陰惨な出来事、連続殺人の顛末と真実を暴くことで、彼の地が抱えている問題の一端を抉り出します。
 そう書くといかにも社会派っぽく映りますが、本作はそれ以上に本格であり、そして何よりもひとりの少年とカンボジアに生きるストリートチルドレンの物語として読み応えがありました。

 人が人として扱われない世界、ストリートチルドレンを殺しても罪に問われることのない(=そもそも偽装の意味がない)、われわれ日本人から見ればとても想像もつかないような環境下において、なぜ死体は装飾される必要があったのか。リアルな世界を舞台にしながら、一種の特殊設定ミステリを構築し、その中で問題点を創出する。
 そうして導き出される真相はあまりにも残酷で悲劇的で、この犯罪自体が成立してしまっている現状自体が怖ろしいことこの上ありません。それこそ、所詮は日本で平穏に過ごしている自分が何かを語れるような立場なのか、と問い詰めたくなる程度には覚悟のいる真実です。
 そうはいっても、読後感は決して悪くなく、どうしようもないほどの絶望を描きつつも、最後にほんの少しの救いを用意してくれるのもまた、梓崎優のカラーといえるかもしれません。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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