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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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相棒 Season 12 第1話「ビリーバー」


★★★☆☆
特命係・杉下右京は、甲斐享の彼女、笛吹悦子から最近、享の様子がおかしい、と相談を受ける。どうやら、「みんなの動画」というサイトで「火の玉大王」と名乗る男の生放送にハマっていると言う。「9.11同時多発テロがアメリカ政府の陰謀」「富士山は今年中に噴火する。それも人為的に。」など様々な諸説を配信している「火の玉大王」こと綾辻は陰謀論者のようだ。心配になった右京は、享を尾行しその行動を探ろうとする。すると、「火の玉大王」を中心に手をつなぎ、夜空に向かって宇宙船を呼ぼうとする享の姿が……。


 始まりました、Season 12! いやー、また荒れそうな展開をぶち込んできましたねぇ。
 それはともかく、本編感想。第1話にしてはそれほど派手ではなく、甲斐次長誘拐事件という一大事割には、案外小粒な事件に収まっていました。まぁ、犯人グループが犯人グループですしね。過去の大規模犯罪群と比べると、そりゃあ小さな事件に見えてしまうというものです。
 ネタ的には『劇場版』に近しくも、作中では犯人の動機についての問題提起はあまり深くはなされず、そうした意味では突っ込み不足な感じもしました。

 対して、今回力を入れられたのは甲斐秋峯という人物についての掘り下げです。甲斐パパの警察官としてのスタンス、決して他者に与しない強さ、カイトくんが抱く父親への複雑な思い――2時間掛けてそれらがじっくりと描かれていました。
 甲斐次長は本当に性格的に真っ黒と言いますか、真っ黒であってもそれ自体が自分の信ずる正義の体現だから揺るがないと言いますか。根っからの警察官僚、組織人気質ですよね。自分が生き残るためには警察そのものを犠牲にすることすら厭わなそうな長谷川元副総監や片山雛子のラインとはまた別で、警察組織とその制度を生かすためなら己が身すらも捧げて準じるだろうタイプだと思います。
 今後、特命係が警察の存在意義を揺さぶるような大事件を抉り出してきたとき、甲斐次長がどのような態度をとってくるのかがいまから楽しみです。

 タイトルの「ビリーバー」に集約されているとおり、今回の話では信じるもの>真実の図式が多く見られます。犯行グループのオフ会仲間にとっての真実は陰謀説であり、それによって誘拐事件のあやつりが成功する。真犯人は真実の有無よりも大衆の先導こそが重要だと考える。エイリアンアブダクティや超常現象遭遇者のことをビリーバーと呼ぶ向きもありますしね。超常現象好きとしては、揶揄するような表現なのであまり好きではありませんが。
 そもそも、かの有名なエイリアンと手を繋いだ捕獲写真や、劇中でも触れられているアポロの月面着陸捏造疑惑なんかも、元々がエイプリフールの冗談ネタだったりしたものを、世界中に広まるうちに(故意か偶然かは不明ではあるものの)“フィクション”という但し書きが取れていまに至っているわけですからね。
 人の思い込みや信じる力=真実を創り上げるというテーマには、まさにぴったりのガジェットだったりします。

 そしてそして、まさかの三浦さんレギュラー脱退ですよ。これについては、私は何度も訴えているように長期ドラマは人物関係の変化こそが見どころだと思っているので、全然アリだと思います。
 『相棒』はもともとキャラの入れ替わり、ポジション替えが少ない番組ですからね。個々の事件とは別に、縦軸部分でもキャラクターを動かさないとマンネリに見えてしまうきらいがある。現に、Season 4~6あたりは変動がなさすぎて印象薄になりがちでしたしね。
 『相棒』が参考にしている海外ドラマも、シーズン毎にレギュラーの入れ替わりがあるのは普通ですもん。緩急をつけることは良いことです。
 今後も登場するかどうかはさて措いて、まずは大谷さん、10年超お疲れ様でした。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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