2013.10/08 [Tue]
東川篤哉『ライオンの棲む街 ~平塚おんな探偵の事件簿(1)~』
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★★★☆☆
本当さ。だって、あたしの知る限り、平塚の街にライオンは一頭しかいねーじゃん
27歳の美伽は東京でのOL生活に夢破れ、地元・平塚市に帰ってきた。それを聞きつけた高校時代の友人・エルザから「ウチの仕事を手伝え」との誘いが。就職難の昨今、「友情バンザイ……!!」とはりきって訪れた雑居ビルには『生野エルザ探偵事務所』の看板……。10年ぶりに再会した旧友は、“名探偵”に成長していたのだった!!
「平塚おんな探偵の事件簿」第1作。
『謎解きはディナーのあとで』で一躍有名になった東川篤哉の新シリーズは、美脚が自慢の私立探偵“平塚のライオン”こと生野エルザと、彼女の高校時代の同級生であり“猛獣使い”の川島美伽の女性コンビが活躍する連作ミステリです。
どちらかといえばフーダニットの論理的推理が主体だった『謎ディナ』に比べ、本作はトリック重視の傾向が強く、図版の入った解決編など、インチキ占いから密室殺人まで、全部で5つの事件が収録されています。個人的なベストは第三話「ひらつか七夕まつり犯罪」のアリバイトリックで、犯人の目論見自体は見え透いているものの、具体的にどんなトリックが仕掛けられているのかがはっきりせず、練りに練られた凝った工作にまんまと翻弄されました。
全体を見渡すとミステリとして特段大きなインパクトを残すわけではないけれど、キャラクター造形に些かチープさが拭えなかった『謎ディナ』とは異なり、エルザと美伽のやりとりだけでもかなり楽しめるので、それなりに満足度は高いです。
それはそうと、オビの「声優・堀江由衣さん推薦!」はいったいどの層をターゲットにしたのか謎すぎる。とはいえ、いざ読んでみると確かに美伽はほっちゃんボイスが合いそうなんですよね。おかげで地の文の語りは、延々とCV.堀江由衣で再生されていました。
『氷菓』や『Another』といった作品が次々とアニメ化される中、或いは東川作品をアニメにしようという動きが秘密裏にあったりするのでしょうか。『放課後はミステリーとともに』のドラマは本格ミステリの映像作品としても見応えがあったし、この作品ならば充分いけるかもしれません。
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NoTitle
今いちでしたが面白かったです。
これからも期待してます。
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