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石崎幸二『≠の殺人』

≠の殺人 (講談社ノベルス)≠の殺人 (講談社ノベルス)
石崎 幸二

講談社 2009-12-08
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★★★☆☆
人間などA、G、C、Tの四文字で表せる。ヒトの塩基配列こそ、真に人間が描けている文章である。
かくも人間が描けている文章などつまらないものだ。というより、人間自体つまらないものなのだ。

沖縄本島沖の孤島―水波照島にあるヒラモリ電器の保養所で開かれたクリスマスパーティー。大手企業の御曹司・平森英一が主催するとあって、会には有名スポーツ選手や俳優などの豪華な招待客が名を連ねていた。そんな宴の夜、惨劇が!人気プロ野球選手、井沢健司が無残な死体となり発見されたのだ。その後、連鎖し起こる不可能殺人。事件の背後にある深い闇に迫る。絶海の孤島に住む双子の姉妹、断崖の上の怪しげな建造物、連続殺人事件勃発率99.9…%。オヤジギャグを愛す女子高生コンビ(ミリア&ユリ)が難事件に挑む。


「ミリア&ユリ」シリーズ 第6作。
 毎度お馴染み、ミリア&ユリ、石崎さんに仁美を加えた4人が赴いた先の孤島で殺人事件に巻き込まれる本格ミステリです。前作『復讐者の棺』では科学捜査が前提となった時代においての“顔なし死体”の在り方について、新たなアプローチが為されましたが、今作でもまたDNAネタを積極的に作品内に取り入れて、古典的ミステリの王道ガジェットである双子トリックと最新科学との折衷を目指した、非常に志の高いミステリとなっています。

 捜査形態は元より、ケータイやネット環境の充実、専門知識の一般常識化によって、現代社会を舞台にした場合、いかにミステリ小説といえども、かつてのような“お約束”な設定や筋書き、ガジェットの数々を描き辛くなってきているのが現状で、いかにして従来までの王道パターンを小説の中に落とし込むかが、現代ミステリのひとつの課題となってきています。
 そうした問題意識を持った上で読者に対して一定以上の答えを提示し、その上笑えて読みやすく、200ページちょっとのミステリとは思えないほどの満足感が得られる。石崎さんの小説は地味に凄いと思うんですよね。
 惜しむらくは最後のオチといい、前作同様のDNAネタといい、毎回孤島が舞台といい、巻を重ねるごとにどんどん縛りが増えてきて、自分で自分の首を締めているようにしか見えないところでしょうか。でも、そんなMっ気たっぷりな石崎さんが大好きです。

 ちなみに今回は石崎さんの旧友が登場することもあり、まさかの石崎age展開。子供と年寄りにモテるのも良いじゃないですか。実際、ミリアと仁美あたりなら、なんだかんだで石崎さんと結婚くらいしてくれそうな気がします。
 タイトルの意味や事件の真相は存外重たいけれど、ライトな語り口と相変わらずの漫才会話でするする読めるので、読後感は決して悪くない。この「軽さ」も石崎作品の魅力でしょう。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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