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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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太田紫織『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』

櫻子さんの足下には死体が埋まっている (角川文庫)櫻子さんの足下には死体が埋まっている (角川文庫)
太田 紫織 鉄雄

角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-02-23
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★★★☆☆
北海道、旭川。平凡な高校生の僕は、レトロなお屋敷に住む美人なお嬢様、櫻子さんと知り合いだ。けれど彼女には、理解出来ない嗜好がある。なんと彼女は「三度の飯より骨が好き」。骨を組み立てる標本士である一方、彼女は殺人事件の謎を解く、検死官の役をもこなす。そこに「死」がある限り、謎を解かずにいられない。そして僕は、今日も彼女に振り回されて……。


「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」第1作。
 無類の骨好きで人間嫌い、自由奔放かつ皮肉屋なお嬢様・櫻子さんと、彼女に付き合わされてしょっちゅう事件に遭ってしまう少年の死と骨にまつわる日常。小説投稿サイト『E★エブリスタ』掲載作品の書籍化です。
 インパクトのある女性の探偵役、キャラクターを立てたライトなミステリ風味、旭川を舞台にしたご当地もの、イラストをあしらった表紙――と、最近の流行を手堅く押さえてくるあたりは、実に角川らしい。
 流行りのご当地ものに法医学ネタを本格的に持ち込む着眼点はかなり新鮮で、これがもともと素人によるいち投稿作品だった事実には驚かされます。

 しかしながら、全3話収録されているうちの第1話を除いては、事件そのものの謎解きに重きが置かれておらず、第2話「頭」に至っては死体が出るには出るものの、肝心の事件はさて措いて、あくまでも翔太郎と櫻子さんの骨探しドライブの顛末が描かれるなど、基本的にどの物語も“人の死にまつわる事件の隣にある主人公の日常”が話の中心であり、ミステリと呼ぶのには首を傾げてしまいます。ミステリ小説というよりも、一般文芸にカテゴライズされるような作風といった方が正しいです。
 これはこれでアリなのですけれど、ことミステリとして見た場合はちょっと違うかなぁと。

 人の情を信じたい正太郎と、人に嫌われるのを大得意とする櫻子さんのドライな見解の衝突、突き付けられる無慈悲で生臭い真相が、「時間の止まった」「変化を嫌う」と作中で称される旭川の冷たさと上手い具合にマッチしており、ご当地小説である意味がきちんと活かされているのは、細かいですが重要なポイントです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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