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映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス(ST12)』

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西暦2259年。平和を保っていた地球に突如訪れた史上最大の危機は、スターフリートの隊員、ジョン・ハリソンによってもたらされた。復讐を誓い、たった一人で戦争を仕掛けてきたハリソン。ロンドン、サンフランシスコと急速に広がる地球規模の脅威を前に、エンタープライズ号船長、ジェームス・T・カークは、敵が潜む宇宙の戦闘地帯へと旅立つ。だが生死を賭けたバトルが展開される中、カークと仲間たちとの絆が徐々に引き裂かれていく。ハリソンの過去、そして復讐の真の目的とは何なのか。地球の存亡と引き換えに、カークが、そしてエンタープライズのクルーたちが払わなければならない犠牲はあまりに大きいものであった……。 (2013年 アメリカ)


劇場版「スタートレック」第12作。
 J.J.エイブラムスによる『宇宙大作戦』こと「TOS」のリメイク劇場版、「AOS(Alternate Original Series)」シリーズの第2弾です。実は1週間も前に先行公開で観てきたのですが、最近のサボり癖からブログに感想を書いていなかったのはご容赦を。
 いやー、面白かった。リメイクでありながらタイムトラベルによる時間軸分岐という、いかにも「スタートレック」らしい手法を使い、旧来までのシリーズの完全続編でありながらまったく新しいシリーズとして再出発させるという荒業を成功させた前作も拍手喝采ものの素晴らしさでしたが、今作はそれをさらに凌駕した出来です。

 特にドラマ性が強化されているのが大きかったです。前作が感動要素を冒頭10分に押し込んであとはひたすらエンタメで押し切っていたのに対し、今回は全体を通してカークの船長としての自覚、スポックの人間的成長の二点が描かれ、非常にバランスのとれた作品となっています。
 個人的には、前作を観ていて若カークの人物像がどうしてもあのカーク船長と重なってこなかったのですが、『ST12』の物語を観て、ラストの演説を聴いたあとだとしっかりカーク船長に見えてくる。スポックとカークの関係も同様で、ふたりの間にある絶対的な信頼と友情が固まったキッカケこそ、この作品といえるでしょう。
 スコッティとチェコフだけはイマイチ繋がった感じがしないのは、やはり出遭い方の違いからですかね。「AOS」のスコッティとカークが対等な友人っぽさが溢れているのは、初めて逢った場所が場所だったし、チェコフもオリジナルでは初期メンバーでなく2nd season からの参戦でしたしね。
 どうでもいいところでは、カークとスポックの胸板が心なしか厚くなり、制服のフィット感がより「TOS」らしくなったのもその一因かもしれません。

 そして、特筆すべきは敵役のジョン・ハリソン。超人的な肉体と頭脳を持ち、常に冷酷かつ冷静な彼の正体はシリーズファンにはお馴染みのある重要人物です。
 この点が最大のポイントで、本作は旧劇場版シリーズ第2作のリメイクであり、物語が進むにつれ『ST2』と同じ構図、似た展開に陥っていきます。そしてさらに、前作でこちらのタイムラインに残り、現在はニュー・バルカンの復興を手伝っているオリジナルのスポックにアドバイスを仰ぐ形で、旧作『ST2』が過去の出来事としてザッカリー・スポックへと伝えられるのです。つまり、ここでも本「AOS」シリーズが旧作とリンクした物語であることが明確化されているわけです。
 しかも、本作と旧作ではカークとスポックの立ち位置が真逆となっており、「仮にあなたが私だったとしても同じことをしたでしょう~」という、この手のストーリーでよく見られるあのセリフに対するアンサーを、if展開として観客の目の前に提示します。これによって本作のストーリーばかりか、相対的に旧作『ST2』の物語性までも高めてしまっているところが凄い。
 思えば、パイク提督を恩師と慕うクリス・カークですが、「TOS」ではスポックの方がパイク船長と縁深いんですよね。このあたりの構図の逆転も確信的だとしたら、尽くファンのツボを突いた脚本です。

 勿論、小ネタにも余念がありません。ジョン・ハリソンの正体は言わずもがな、謎の科学者としてエンタープライズに紛れ込むキャロル・マーカスは『ST2』で登場するカーク船長の元奥さん、キャロルの口から語られる友人・クリスチンは「TOS」の看護クルーで、前作でも名前が出ていました。
 同じく前作でも一瞬映ったトリブルは今回も登場。ただ、トリブルを蘇生させると大変なことになってしまうような。
 マッコイが喋る度に「ゴーン」キタ━(゚∀゚)━!  「わたしは医者だ!」キタ━(゚∀゚)━! とひとりで大興奮だわ、マーカス提督のオフィスにフェニックスっぽい模型があるわ(NX-01もあるかと探したのですが、何ぶん一瞬だったのもで発見できず。もしかしたらフェニックスじゃなくてNXアルファだったかもしれません)、極めつけは宇宙艦隊の秘密組織セクション31!!
 時代的に24世紀ネタはただでさえ難しいのに、こういうところでしっかりと「ENT」からの歴史補完をしてくるとは。恐れ入ります。
 「ENT」といえば、本作に登場したクリンゴンの額の外観に違和感があったのは、やはり優生クリンゴンの名残から回復する過程だったということなのでしょうか? 通常のクリンゴン人を模したマスクを被っていたこと、時代的には23世紀であったことを鑑みると、そう考えるのが妥当ですかね。
 そもそも、「ENT」で行われたクリンゴン人の額に関する辻褄合わせは、23世紀の時代が再び描かれることを想定していなかったものですからねえ。このあたりは製作陣も苦慮した問題だと思います。

 映画冒頭、海中から現れるエンタープライズの圧倒的存在感、スピーディーなアクションの数々、宇宙戦のスリルと迫力、ラストの締め――。どれをとっても完璧すぎる。
 まさか前作に続いてリメイク第2作もこのレベルの傑作を繰り出してくるとは思ってもみませんでした。これを機に「スタートレック」人気が再燃し、続編のさらなるシリーズ化、テレビシリーズの再開が決まれば、ファンとしてこれ以上に嬉しいことはありません。


余談ながら。
 前作と本作における過去作の扱いを見るに、「スター・ウォーズ」でも相当ファンを慮ってくれそうなので、J.J.エイブラムスが監督する以上、既存のスピンオフ設定が大幅に破棄される可能性は殆どないと考えて良いと思います。この点でも、今回の『ST12』は大収穫でした。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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