2009.09/24 [Thu]
映画『フライト・オブ・フェニックス』
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★★★★☆
人間が生きていくには愛する相手が必要だ。それがムリならせめて希望がほしい。
希望もないなら――仕事を与えてくれ
毎度お決まりの無難な仕事のはずだった。貨物飛行機の操縦士フランクは、閉鎖された石油採掘所のスタッフと廃材を運ぶため、ゴビ砂漠上空を飛行していた。が、突如発生した巨大な砂嵐により、アンテナと左翼エンジンが損傷、やむなく砂漠のど真ん中に不時着する。着陸のショックで激しいダメージを受けた機体はもはや離陸不可能、外部からの救援を待つしかなかった。しかし、コスト削減のため採掘所を閉鎖した本社が、彼らの捜索部隊に予算を費やすとは考えにくかった。奇しくも時期は7月、ゴビ砂漠が1年のうち最も暑い季節であった。苛酷な環境、残り少なくなっていく物資、そして砂漠に群生する武装集団による襲撃……数々の困難に直面しながら、彼らは生き延びるために残された唯一の道を辿ることになる。まさに"不可能"としか思えない道、それは、機体の残骸から新しい飛行機を造り、この砂漠を脱出することだった――。(2004年 アメリカ)
1965年製作の映画『飛べ!フェニックス』のリメイクということですが、オリジナルは未見。
「脱出手段がないなら自分で作っちゃえば良いじゃない」とマリー・アントワネットばりの発想で、事故により砂漠に取り残された人々が墜落したもう機体からもう一機新しい飛行機を作って脱出を試みるというトンデモかつおバカ映画かと思いきや、これがなかなかちゃんとしていてびっくり。地味ながらに良い映画でした。
一応、ジャンルとしてはサバイバルものに該当すると思われるのですが、別段怪物や獰猛な野生生物が出てくることもなく(唯一、砂漠の盗賊が出てきますが)どちらかといえば極限状態で生きる人々の心と心のぶつかり合いの方に焦点が置かれ、単純な“人が死んでぎゃー”なパニック映画とは一線を画す内容となっています。
見込みの薄い救出隊の捜索をただ待っているくらいなら、不可能だとわかっていても自分の足で永遠歩いていく方がマシ。そうやって墜落場所からひとり去っていったリドルとフランクが会話を交わすシーンはまさに人間の真理というべきで、新しい飛行機を作る作業が乗組員にとってどういう意味を持っていたのかということを端的に表しています。
事実、悲嘆に暮れていた彼らが、飛行機を作るという作業を開始して日々を前向きに過ごすようになり、最初からの仲間のように絆を深め、家族か或いはそれ以上の存在にまでなっていく。そういった過程がきちんと描かれていることにとても好感を持てます。
また、始終怪しい動きを見せる自己中心的な設計士にして最大の不協和音・エリオットの存在などサスペンス的な要素でも飽きさせません。
映像面ではバッドランド@スタートレックのような乱発する砂嵐や雷シーンのCGの出来が美しいのはもとより、砂漠の朝の冷たさを思わせる少し暗の掛かった場面、フラッシュフォワード的な再現映像など、こちらもかなり手が込んでおり、一見単調になりがちな一面の砂景色を上手く見せていると思います。
エンドロール前に、その後が描かれるのもまた良いですね。
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