2009.09/21 [Mon]
映画『X-MEN:ファイナル ディシジョン』
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★★★☆☆
プロフェッサーXの右腕だったジーンの死により、いまだその動揺から立ち直れずにいるX-MEN。そんな中、"ミュータントは病だ"と主張する天才科学者によって、ミュータントの能力を消去し普通の人間にすることのできる新薬"キュア"が開発される。"ミュータントのまま生きるか、それとも人間になるか"という究極の選択に、ミュータント社会は大きく揺れる。マグニートー率いるブラザーフッドは、キュアの根絶を狙い、キュア開発のカギとなる少年ミュータント、リーチの強奪に動き出す。一方、X-MENは人類とミュータントの全面戦争を回避しようと奔走するのだが…… (2006年 アメリカ)
『X-MEN』シリーズ 第3作にして、一応の最終章。
『ウルヴァリン』から改めて見直して、4作目になるわけですが、正編『X-MEN』三部作の中ではいちばん面白かったです。しかし、相変わらずツッコミどころも満載というか……
まず、あのエンジェルのミュータントを出した意味があるのか、という点ですよね。前作の黒幕・ストライカーも息子がミュータントで、ミュータントを恐れるあまり自分の息子まで実験体として利用してしまうわけですが、今回登場のドクターも最愛の息子がミュータントとして発現してしまいます。とはいえそこはストライカーとは違って、彼はミュータント化の原因であるX因子を抑え込む薬を研究し、開発にまで漕ぎつけます。で、その薬“キュア”が物語の争点となる、と。
ミュータントという病から解放するために息子をキュアの第一被験者に選ぶドクターですが、土壇場でエンジェルはこれを拒否。プロフェッサーXの学園に逃げ込みます。しかしその後、レギュラー陣との絡みも殆どないまま物語は終盤の決戦へ。キュアの研究施設が襲われたと知って、彼は父を助けに行きます。その翼で颯爽と父を救い出し、エンジェルの出番は終了。その後の父親との関係の変化もフォローされなければ、個人としてのセリフもない。要するに、パーツとしてはもっと面白くできるものを持っているのに、充分に生かしきれてないのが問題です。
暴走したジーンにしたって、キュアの大元となった“無効化の”ミュータントを彼女の元に向かわせて、その後でキュアを打たせればもっと良い方向に解決できたはず。まあジーン本人がそれを望んでいたかどうかは、また別の話になってくるわけですが。
ラストも、インパクト先行な感が強いです。その前にプロフェッサーが授業内で倫理観の話をしていたにも関わらず、自分の命が危なくなったら即そういうことをしてしまうのですか?とか、あの人、確実にキュア打たれてたじゃんwwとか。Jホラー的な(オリジナル表現ですけど)オチを意識しすぎて、逆に物語が破綻し掛けているのがどうも納得できないです。
さて。散々悪いところを論った後は、良かったところを(飴と鞭
今回の見どころは何と言っても終盤のアラカトラズでの混戦。たった数人のX-MENの面々がマグニートー率いるミュータント軍団の前に立ち塞がるシーン。燃えます。何ていうか、戦隊ヒーローでいうところの最終回の名乗りのシーンみたいな。
しかしアメリカ人はアラカトラズ刑務所、大好きだな。
また、主要キャラをぼすぼすと消していったのも最終章らしくて良い演出です。そうはいっても、結局命を落としたのはレギュラー陣では僅かなんですけどね。
そういったキャラ殺し作品である反面、一方では『X-MEN』はシリーズ通してキャラクターを育ててきた稀有な作品でもあると思います。
ミュータントの能力に悩んできたローグはX-MENのメンバーになるまでに成長しましたが、それでも人に触れられないという能力は未だに嫌悪するものでもあります。そんな彼女も今回でキュアという文字通りの安息を得ます。
初めはモブで登場した“壁を抜ける少女”も、『2』でストライカーのデスクから書類を入手した経緯を明かす際にも触れられ、同じく前作までモブだったマッスルくんと共に今回は満を持しての正式なX-MENメンバーとして登場します。
その他、順調に経験を積んでいったボビーとダークサイドに堕ちたパイロとの因縁、ミスティークの行く末など、『X-MEN』シリーズは本当に群像劇というか、“シリーズもの”の白眉をいっている――といったら誉め過ぎでしょうか?
だからこそ、主役級のウルヴァリンの過去を描いた『ウルヴァリン』がスピンオフとして成立するし、さらには後々作られる予定の『マグニートー』や『ウェイド』みたいな多角的なスピンオフ展開も可能なんですよね。
そんな感じで、シリーズ通しての感想の締め括りたいと――思ったのですが、どうしても言いたいことが。ストームの髪型は前の方が好きだったので、今回ショート&黒髪交じりになってすごく残念……と思いきや、動いたのを見ると今作の髪型もなかなか捨て難いじゃないですか!(余韻ぶち壊し
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