2013.05/20 [Mon]
映画『遊星からの物体X ファーストコンタクト』
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★★★★☆
コロンビア大学の考古生物学者ケイトは、偶然氷の中で発見された太古の昔に死んだと思われる生命体の調査のため、世紀の大発見に沸き立つノルウェー観測隊の基地へと降り立つ。そこには、化石が閉じ込められた何の変哲もない氷塊が置かれていた。ドリルで氷塊に穴を開けた途端、“それ”は解き放たれた。その物体は、狙いをつけた生物の体内に侵入、細胞を同化してその生物そのものになりすまし、自らの生存のため人間同士を争わせようとする宇宙からの生命体だったのだ。 (2011年 アメリカ)
「遊星からの物体X」第2作。
映画史にその名を刻む、ジョン・カーペンター監督作『遊星からの物体X』の30年ぶりの続編にして、直接的な前日譚。前作の序盤で登場した、何者かとの闘いによって廃屋と化したノルウェー基地で起きた出来事の一部始終を描いています。
「スター・ウォーズ」の新三部作や『スタートレック エンタープライズ』、『プロメテウス』等の例を挙げるまでもなく、年月が経ってから製作されるプリクエルものには、時系列的には既存の作品よりも過去のエピソードなのに、映像上では前日譚の方が洗練されて見えてしまうという問題が散見されます。
しかしながら、本作の場合は物資の乏しい南極の拠点基地が舞台なこともあり、きちんと80年代の物語の前章でも違和感のない画づくりが成されているのが良ポイント。それに限らず、前作との整合性、地続きの物語であることはかなり重視されていて、“物体”の形状から死体の恰好、残された手斧の位置まで、カーペンター版『遊星からの物体X』で見た「あのシーン」に、すべて矛盾なく繋がるように計算し尽くされているのは感服ものです。
作品全体に流れる雰囲気も同様で、生理的な嫌悪感を喚起させる独特な不気味さを持つ“物体”や、静かながらにじわじわと追い詰められていくような緊張感、演出や音楽、ガジェットと、すべてがすべて前作を踏襲している凝り具合。それでいて、かつては描けなかったようなスケール感で宇宙船を見せてみるなど、使うところでは惜しげもなく最新技術を投入している点にも目を見張ります。
前作の冒頭に繋がるエンドロールの持っていき方も見事です。名作の続編というと非難の対象にされがちですが、いわゆるエピソードゼロものとしては最高点の出来栄えではないでしょうか。
勿論、モンスター・パニックとしても面白く、前作に引き続いて誰が敵で誰が味方なのかがわからないスリリングさも目いっぱい味わえます。
さすがはレンタルショップでいつも貸出中で、なかなか借りられなかっただけのことはある。
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