2013.09/28 [Sat]
映画『プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』
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★★★★☆
ともだちを守りたい。そんな優しいこころがあれば、女の子は誰だってプリキュアになれるのよ
横浜みなとみらいの街はプリキュアたちが、謎の怪物・フュージョンを倒したというニュースで、もちきり! プリキュアに憧れる女の子たちは、ポーズをマネして大ハシャギ。でも転校してきたばかりのあゆみは、ひとりぼっち。そんなあゆみは、学校の帰りに謎の生き物と出会うの。あゆみはその子をフーちゃんと名づけて、ふたりはすっかり仲良しに。でもフーちゃんは、闇の力をもつフュージョンのカケラで、友だちのいないあゆみのために、あゆみのキライなものをどんどん飲み込んで、学校や街をめちゃくちゃに! 「こんなつもりじゃなかったのに……」あゆみの本当の気持ちを伝えるために、28人のプリキュアたちが、またまた大集結! みんなの力がひとつになった時、奇跡の光が輝くよっ!! (2012年 日本)
「プリキュアオールスターズ NewStage」第1作。
毎年恒例の春映画。卒業をテーマにした前作『DX3』にて一区切りついた「プリキュアオールスターズ」ですが、東映がこのドル箱企画をそうそう手放してくれるわけもなく、タイトルを「プリキュアオールスターズDX」から「NewStage」に変更し、リニューアルして続編が制作されました。
本作の主役となるのは、横浜に転校したばかりの普通の女子中学生・あゆみちゃん。思うように友達も作れず、逃げ出したくなるような憂鬱な日々を過ごす中、彼女は愛らしく小さな不思議な生き物と出逢い――というのが今作の導入部。あゆみちゃんと仲良くなったフーちゃんはやがて力をつけていくにつれ、彼女の願いを極大解釈し、横浜の街を危機に陥れることになります。
「NewStage」となった「オールスターズ」の最大の特徴として、従来までのオールスターズ路線から大幅に舵を切り、プリキュアではないまったく新規の登場人物をストーリーの中心に据えるという作劇が為されています。
そのため、プリキュアオールスターズは街を救った謎の戦士たちとして報道され、主人公であるあゆみちゃんも、そんなプリキュアの勇姿に憧れるいち女子中学生として描かれます。これにより、従来までの主役であるプリキュアとなる少女たちの目線で紡がれる物語とはまた違った、外側から「プリキュア」という存在を見つめ直した作品となっているのです。
一般の人々、とりわけ同年代の女の子たちにとって「プリキュア」とはどのような存在なのか。無印『ふたりはプリキュア』でもほんの少しだけ取り上げられたテーマですが、本作はその点を大きくクローズアップし、ひいてはテレビの前の女の子ひとりひとりにとって「プリキュア」とは何なのかという、プリキュアそのものに込められた寓意性を、坂上あゆみ=キュアエコーの成長と覚醒を通して伝える非常にメッセージ性の高い作品です。
日常は上手くいかなことばかりかもしれないし、上手く溶け込めない自分に苛々することもあるかもしれない。けれど、それでも、勇気を持ってあと一歩踏み出してみれば、新しい世界がきっと待っている。その踏み出す勇気こそがプリキュアの証であり、女の子はみんなプリキュアになれる可能性を秘めているのだ、と。
いわばこの映画自体がひとつの「プリキュア」論であり、そうした意味では、これまで以上に対象年齢を引き上げたハイターゲット層向けの作品といえるかもしれません。
そのぶん、歴代プリキュアに割かれる尺は少なく、「オールスターズ」の慣例どおり頼れるスイート組から発展途上のスマイル組へのバトンタッチを行いつつも、『5』以前の先輩たちにはまさかのセリフなしという残念な事態が待っていました。
そもそも、28人集めるのもそれぞれに見せ場も作るのも難しいため、誰がスッパ抜かれて、誰が不遇で~なんて議論を端からしようとは思っていませんが、さすがに走っているときの息遣いもなく、戦闘時も掛け声ひとつ発しないとなると、観ていて相当違和感があるのは確かです。
これならばいっそのこと、「NewStage」だからと割り切って、「オールスターズ」の名前は冠しつつ、参戦キャラを『ハトキャ』以降に絞るのもアリだったんじゃないかなぁ。そのあたりが微妙に手抜きに見えてしまうのが難点といえば難点です。
とはいえ、お話自体は良かったので、少し悩みましたが★×4で。
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