2013.04/19 [Fri]
森川智喜『スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ』
![]() | スノーホワイト 名探偵三途川理と少女の鏡は千の目を持つ (講談社BOX) 森川 智喜 平沢 下戸 講談社 2013-02-02 売り上げランキング : 337065 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★☆
ドドソベリイドソドベリイ!
鏡や鏡! 真相を教えてちょうだいな
「何でも知ることのできる不思議な鏡」をつかって小さな探偵事務所を営む女子中学生・襟音ママエ。自分の頭ではまったく推理をせず、鏡の力に頼りきりのママエだったが、ある事件がきっかけで、悪がしこい名探偵・三途川理に命を狙われることになってしまい――!?
「名探偵・三途川理」第2作。
すべての質問に完璧な答えを返す不思議な鏡を持つ探偵少女を主役にした特殊設定モノのミステリです。デビュー作でもある前作『キャットフード』が良くできていたとは言い難い作品だっただけに、今回はスルーしようかとも思ったのですが、これは読んで正解でした。
作品は大きく二部構成となっており、前半はママエが鏡の能力で依頼人の持ち込む事件を解決する短編が3本収録、後半は彼女の命を狙う外道探偵・三途川理との鏡の能力を用いたコンゲームという、まったく趣の異なるミステリがひとつの物語の中に無理なく同居しています。
特筆すべきは第一部「襟音ママエの事件簿」で、推理の過程をすっ飛ばしてカンニング的に“真相”を知ることができる鏡を用いておきながら、なぜその答えに至ったのかを問い詰められたママエが、既存の情報から依頼人の話忘れた情報を知り得た理由、“論理展開のミッシングリンク”を組立てていく過程は実に読ませます。
本来ならばミステリとしてのフォーマットを破壊してしまい兼ねない裏技をもってなお、それでも推理することの醍醐味が味わえる。それどころかむしろ、反則ギミックの導入がミステリ部分の難度を高めてさえいる。
事件を通してママエの成長をストレートに描いたストーリーも好感が持て、作者の大幅な技量アップを感じました。大変面白かったです。
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