2013.04/08 [Mon]
ドラマ総評:『ネオ・ウルトラQ』

★★☆☆☆
かつて地球上ではさまざまなミステリーが起きていた。「ウルトラQ」から47年、再び怪異現象が地球を襲う……。不可解な出来事に引き寄せられるのは、心理カウンセラーの南風原仁、トラベルカルチャー誌のライター渡良瀬絵美子、バー「トビラ」のマスター白山正平という、境遇も考え方もまったく異なる3人。南風原の恩師・屋島教授に助けられながら、3人は人知を超えた“力”に向き合っていく。全12話。
いまさらながらにドラマ総評。
2009年の『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトルNEO』以来、久々の「ウルトラシリーズ」の連続ドラマ、しかも原点である「ウルトラQ」のリメイクではなく続編ということで、放送前から相当に期待を寄せていた作品です。私は特ヲタというよりも「ウルトラ」ファンの色合いが強いので、ここ最近の円谷プロと「ウルトラシリーズ」の低迷ぶりにはずっと忸怩たる思いを感じていました。
勿論、毎年公開している映画のクオリティは総じて高いし、毎週放送されている『ウルトラマン列伝』は当初3クール終了予定だったものが、好評が高じて8クール目に突入するなど、喜ばしいニュースもたくさんあります。しかしながら、予算がないので新作は難しい、世間的には過去のものとされている現状はファンとして決して歓迎できるものではありません。
そんなときに飛び込んできたのが、WOWOWでの新作シリーズ『ネオ・ウルトラQ』の製作決定の報でした。もともと「ウルトラ」はそこまで頻繁に新作を作られる作品ではないですし、毎年交代に新作を作って貰わなくても一向に構わないのです。構わないとは思っているのですが、やはり新シリーズが始まるというのはファンからしてみれば嬉しいものです。
本作『ネオ・ウルトラQ』は大人のためのドラマを標榜し、毎回それぞれにテーマを持って、怪獣というギミックを用いて視聴者に対して問題提起を行うといったスタイルをとっています。そこには、いわゆる怪獣が暴れてどーん!!で終わるような単純な話では終わらせたくない、という製作側(今回は円谷プロではなくコギトワークスという会社が主導)の拘りがあったのでしょう。プライドといっても良いかもしれない。それは伝わってきます。
しかしながら、その織り込み方が上手くない。ぶっちゃけていえば、描きたいテーマを押し出しすぎて、肝心の物語が蔑ろされています。
まともに用意されない人物紹介、オープンエンドさえかましておけば「考えさせられる内容」になるとでも言うような誤解、ありきたりでいまさらな設定と語り。面白い回もあるにはあるけれど、どのお話も説教臭さが鼻につくのです。
しかも困ったことに、脚本家が替わればそれなりに作劇の幅が出たのでしょうが、本作では全話にいながききよたかが関わっているため、失敗したカラーを変えることができずに最後までいってしまった印象です。
せっかくの円谷プロ創立50周年、もう少し何とかならなかったものかと。結果としては、反省点と後悔の方が多い作品となってしまいました。
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