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相棒 Season 11 最終話「酒壺の蛇」


★★★★☆

角田と同期で組対二課・課長の恩地の遺体が自宅から発見された。現場の状況から毒キノコを誤って食べた事故死と思われた。警察の幹部が毒キノコを誤食したという前代未聞の事態に大河内監察官の指示のもと、特別に司法解剖も行われるが怪しい点は発見できず事故死として処理されてしまう。右京と享は、恩地の妻・由美子の証言から、最近恩地が炭素繊維を扱う企業の女性とこっそり電話をしていたことを知る。


 いよいよ Season 11 も最終回。今回は組対二課長の死から始まるスパイもの。ここ最近の『相棒』ではご無沙汰だった一刑事ドラマの枠を大きく超えたスケール感の大きな物語でした。
 ハニートラップによるスパイ活動や工作員交換、尖閣問題を髣髴とさせる「後ろ盾のある外国人容疑者を確保して、本当に起訴できるの?」といった問題など、中国東国批判、政治批判も盛りだくさん。一分の隙を見せようものなら即置いていかれ兼ねない濃密すぎる展開と、目まぐるしく変わる場面にこちらも集中力を注ぎっぱなし。いやー、満足。面白かったです。
 事件自体のカラクリは大した真相ではありませんが、真犯人の工作員による操りテーマと人海戦術を用いた完全犯罪の創出には、ミステリ好きとしては惹かれるものがあります。それらの犯罪を実現させる一要素としてあったキミちゃんの“考えることをやめた”がまた、現代日本の“難しいことを考えない愚かさ”に対する痛烈な警句となり、王とキミちゃんの愛とも憎ともつかない割りきれない感情へと繋がっていく。殺人事件と被害者加害者の物語が密接に関わり合っている作劇が素晴らしいです。

 シーズンフィナーレということで、カイトくんが警察官としての気持ちを新たにする結末にも注目でしょう。「終わりの始まり」→『相棒』テーマ曲の流れで興奮しないファンはいません。
 思えば、今シーズンは新キャラクター・甲斐享の成長物語でもありました。右京さんがカイトくんを特命にスカウトした理由はどこまでも正義を大切にする姿勢というのも勿論あるのでしょうが、それ以上に悦子の言っていたように自分よりも他人のことを想える人間だったことなのです。
 甲斐次長は右京さんに対し、きみやぼくのようにクレバーな人間にそんなものは必要ない、と述べていましたが、そのとおり、これは甲斐次長にはない一面であると同時に、右京さんに欠落している部分でもあります。だから、特命係が本格的に動き出したのは薫ちゃんがやってきてからで、唯一無二のパートナーとの出逢いによって変えられた右京さんが、他人と円滑な人間関係を育むことを学び、神戸君との何度かの衝突を通してそのことを大きく実感していった。
 ひとりでは感情を無視して突き抜けてしまいがちな天才と、彼とは別の視点で事件に寄り添える人間の存在。それこそが“相棒”なのでしょう。ラストの右京さんのお誘いもなかなかに意味深で、特命係設立の経緯を話すということは、右京さん最大の傷を自ら曝け出すことでもあり、あのやりとりだけでもカイトくんに対してどれだけ心を許しているのかが窺えます。ここで出てくるセリフが「ふたりだけの特命係」というのが、小憎いですよね。
 また、特命係がもはや人材の墓場ではなく、明るく前向きであると認めているところからも、番組内、ひいては右京さんの中での“特命観”が変化していることがわかり、まさにこれは『相棒』ニューステージと呼ぶにふさわしい段階に到達したと思います。

 人を人とも思わない黒すぎる甲斐次長との決斗、甲斐親子の確執の行方、長谷川元副総監との決着等、まだまだシリーズに期待できる要素が満載なので、まずは10月からの新シーズン、さらには『劇場版Ⅲ』と今後の展開に期待しましょう。
 それよりまずは、今週末公開『X DAY』ですね。前売りも確保したので、なるべく早く観に行きたいです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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