2013.02/24 [Sun]
ネオ・ウルトラQ 第7話「鉄の貝」
冒頭の入り、海中から意味深に砂浜に乗り上げてくるカメラワークがいかにも怪獣映画ちっくで、否が応にも期待値が上がります。事実、これまでの7話の中では最も怪獣成分の高い、「ウルトラシリーズ」らしさのある一篇でした。
そうはいっても、そんなところにも風刺を交ぜてくるのが『ネオ・ウルトラQ』。大量発生したガストロポッドと火山帯の因果関係がわからぬまま、声の大きな学者に流される形でとんとん拍子に駆除が決まっていく。このあたりの集団心理というか、マスコミ各社が無駄に危険性を煽って→問題視→大騒ぎの流れは現実でもないといえないのが怖ろしいところ。一昨年だったか、東大地震研究所が首都直下地震が4年以内に起こる確率が70%と発表した、とかいったニュースが取沙汰されましたが、アレも結局はネタ元を辿ってみると大したこのない情報でしたし、もうちょっと政治寄りの話題では沖縄防衛局長の普天間基地移設に関しての「犯す前に犯すとは言わない」発言も似たようなものでした。意訳すると確かにそうなっちゃうのですが、よくよく調べてみると基地移設ではなく評価書の提出の方に掛かっているという。
とにかく、マスコミというやつは他人の欠点を見つけては扱下ろし、自分たちの力で世の中が動くのを見て満足したがる。それが正しいことであろうがなかろうが、関係ないのです。だからこそ、言葉狩りが絶えないわけで。そうした風潮を鑑みると、これほどリアリティのある話もありません。報道において真実かどうかはそれほど問題ではなく、まず最初にキャッチーさ。そこからもう、虚像であろうがなかろうが、動き出した計画が「真実」に代わるのです。
しかし、エゴという点では屋島教授も大概で、本当にガストロポッドや人々のことを想うのなら、たとえ犬猿の仲だろうが何だろうが、政府のチームに入り、そこから別の説を訴えるべきでした。たとえ土壇場にあってもそれができないところが、人間の弱さであり、醜さなのでしょう。
今回、残り5分までは大変面白く観られたのですが、肝心のオチがイマイチでした。というのも、あの女の子が話の筋に絡んできていなので、どうしても物語的にちぐはぐに見えてしまいます。また、ラストのオトし方も救いがある結末のハズなのに妙にホラー調だから噛み合わない。
このあたりは演出次第でもっと良い作品にできたと思うのですが。勿体ないです。
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